先週のヨーロッパ出張での Danish Design Centre CEO の Nille Juul-Sørensen 氏との会話が印象に残っている。彼は、元々は建築家。
夕食時の事。最初は、連携にはそれぞれの良さを活かさなければならない、という話。で、「西洋人は日本について知らな過ぎるのではないかと思う」と僕がやや刺激的な発言をしたのが始まり。たとえば、「山は山にあらず、故に山なり」という東洋型の論理(即非の論理)を知っているか、と聞くと、知っているし理解できるとおっしゃる。デンマークは、自然を重視する面もあるし、日本に似ているのではないかともおっしゃる。アメリカのような若い国と違って。確認のために、アメリカと日本が両極端だとして、デンマークはどちらに近いかと聞いたら、もちろん日本だとおっしゃる。「人間は、若いうちはアメリカが好きだが、歳をとると東洋が好きになる」とも。僕も似た道を歩んできたし、日本人の口からそんな表現を聞いた事は何度もあったが、西洋人の口から聞くとは思っていなかったので驚いた。
ただ、デンマークと日本には違いもある、という。たとえば西洋の宮殿に行くと、中心に立派な城がある。しかし、日本の寺院はどこに行っても中心がない。そこが違いだ、と。ああ、そこまで理解して頂いているんだ、と嬉しく思った。
電子書籍「AiR」
に書いた「平安デジャブ─抱擁国家、日本の未来」での議論に近い。むしろ日本人よりもよくわかっているのではないか。いや、日本人にとっては中心のない世界は近代型の中心のある世界と日常の中で融合しているから、意識されない。現代日本人は東洋型世界と西洋型世界が融合した混沌の中にいるのだ。それに対し、西洋型世界から来た人には日本の東洋性がよく見える。そういうことか。
考えてみると、これまで僕が深く接した西洋人は、科学系・工学系の方々が大半だった。建築、デザイン、アートなど、文化について考える事が仕事に深く根付いた分野では、このような文化論の議論は日常的なのかもしれない。これからはもっと文化や思想の話をせねば、と思った。もっと、一般の日本人も、海外の人も、日本の構造について知るべきではないか。
ちなみに、COO の Anne Dorthe Josiassen 氏とは、そのあと、
ニューエイジや
エサレン研究所の話で盛り上がった。彼女も東洋的な思想への興味が強い。ポスト・ニューエイジのために日本人論・東洋論の本を英語で書きたくなった。
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