Entries

3 慶應SDM用語辞典「システムデザイン・マネジメント」

四人

ついに本丸。システムデザイン・マネジメントとは。

「システム」「デザイン」「マネジメント」の定義については既に述べた。これらをつなぐと、「要素間が関係するあらゆるものごとに関する様々な問題を、社会のニーズを重視しながら新たにイノベーティブに解決できるソリューションを提案し、その妥当性・有効性を検証し、そして、そのソリューションを実際に運用していくこと」。要するに、あらゆる問題に対して、全体俯瞰的・全体統合的な視点から問題解決策を見いだし、その妥当性・有効性を検証し、それを実際に具現化し、マネジメントしていくこと。システムデザイン・マネジメント学(SDM学)とは、それを可能にする学問体系の全体を指す。もちろん、システムデザイン・マネジメント研究科は2008年に始まったばかりなので、SDM学も生まれたばかりの若い学問である。よって、骨格は完成しているが、細部は進化中である。この学問が必要な理由は、1章、2章で述べたように、現代の社会や現代の学問が大規模・複雑化するとともに細分化・縦割り化され続けていて、全体俯瞰型・全体統合型の学問を必要としていたという時代の要請による。
SDM学の基盤となるのが、システムズエンジニアリングとデザイン思考である。システムズエンジニアリングとデザイン思考を並列に書くのは据わりが悪い。それよりも、システム思考とデザイン思考と書く方が並列関係としては美しい。しかし、そうも書けない事情がある。それぞれが、それぞれの業界の標準になっているからである。システムズエンジニアリングとデザイン思考の詳細については後で詳しく述べることにする。

SDM学はどんな分野をカバーしているのか、と尋ねられることがある。答えは、あらゆる分野である。科学技術システム、地球環境問題、環境共生システム、安心と安全保障、ヒューマンインタフェース、情報・通信・メディア、モビリティー、都市空間と住空間、地域、組織、コミュニティー、医療・医薬、農林業、宇宙、海洋、外交、政治、経済、経営、マーケティング、コンサルティング、教育学、社会学、心理学、認知科学、アート、体育学、文学、哲学。いずれにせよ、単なる専門研究を行うのではなく、社会のニーズを徹底的に明らかにしてから詳細研究に移る。また、単なる調査研究ではなく、必ず新しいシステムを提案(デザイン)し、検証(verification and validation)する。つまり、あらゆるシステムのデザイン&マネジメントを行うための学問体系が、SDM学である。

そして、システムデザイン・マネジメント学についての教育・研究を行っているのが、システムデザイン・マネジメント研究科(慶應SDM)である。慶應義塾大学日吉キャンパス日吉駅前の協生館に設置された大学院(修士課程・博士課程)である。

慶應SDMではどんな人が学んでいるのか、と尋ねられることがある。答えは、あらゆる分野、あらゆる年齢層、様々な国籍。理系から文系まで、さらに、芸術系、体育系も。新卒学生から社会人学生まで。社会人学生の出身は、メーカー、サービス、シンクタンク、金融、建築、アート、マスコミ、コンサルタント、法曹、医療、省庁、自治体、教育、経営者まで。過半数は、社会人学生である。

慶應SDMで学んだ者は何を身に付けどんな分野で活躍するのか、という問いもよくある。もちろん、システムとしてのものの見方、イノベーティブ・クリエーティブなデザインのしかた、リライアブル・サステナブルなマネジメントのしかたを身に付けて、あらゆる分野で活躍している、というのが答えなのだが、これでは抽象的でわかりにくいだろう。
苦肉の策として、育成する人材は「システムズデザイナー」「プロジェクトリーダー」「ソーシャルデザイナー」だと言うこともある。すなわち、極めて部品点数の多い大規模技術システムや、新規性が高く用途が多様な最先端技術システムを適切にデザインするシステムズデザイナー、極めて参加者の多い大規模プロジェクトを運営していくプロジェクトリーダー、極めて不確定性や変動性の多い環境問題や社会問題に対して斬新な社会システムを提言するソーシャルデザイナー。しかしこれもわかりにくい。
要するにどこに就職するのかという実績の方がむしろわかりやすいのかもしれない。業種でいうと、シンクタンク、コンサルティング、商社、証券、銀行、メーカー、サービス、官公庁など様々である。業種も、企画、経営、SE、エンジニア、営業、管理、教育など多様である。一概にはいえない。ただ、これまでのどの学部、研究科でもなかなか輩出できなかった「学問分野の壁を超えて全体俯瞰的・全体統合的視点から解決策を導きだせる人材」へのニーズは高く、就職実績が極めて高いのは事実である。抜群の就職実績、といっても過言ではない。時代がSDM学を求めている事を、強く実感する日々である。


図の説明:

システム→デザイン+マネジメント
システムのモデリングやシステムズエンジニアリングを体系的に学べる事も慶應SDMの魅力ですが、うちの会社が弱い、デザイン思考・イノベーション・創造性・集合知についても徹底的に学べる点。つまり、左脳と右脳をフル活用する力を磨く醍醐味。これがSDMの魅力です。

大学学部→システム+デザイン+マネジメント
社会人学生と接することは新卒学生にとっては想像もしていなかったほど大きな学びです。こんなに成長できる大学院は他にありません。勇気を出してSDMに来てよかったです。就職実績も抜群です。シンクタンク、コンサル、商社、メーカー、そして起業など、様々な進路で活躍できます!

マネジメント→システム+デザイン
MBA(ビジネススクール)やMOT(技術経営)で学べる要素を、システムとしてつなぐところまでやるから、本質的なレベルで使える総合力が身に付くのがSDM。しかも世界を変えるという大きな志を持つ者の集団。会社経営をしながら学ぶ者にとっても、日々是学びですよ。

デザイン→システム+マネジメント
インダストリアルデザイン等のデザインの考え方は既に理解していますが、それを全体システムとしてどうビジネス化につなげていくかを学ぶことができます。デザイナー、アーティスト、スポーツマネジメントをする者から起業家まで、多様で面白い人間が交流する場です。
スポンサーサイト
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
http://takashimaeno.blog.fc2.com/tb.php/90-21584dbe

トラックバック

コメント

[C9]

最近、SDMのサイトを読んでいたのですが、一連の用語定義を読んで、よりわかった気がします。ありがとうございました。
  • 2013-03-16 21:41
  • 五島 光
  • URL
  • 編集

[C12] Re: タイトルなし

> 最近、SDMのサイトを読んでいたのですが、一連の用語定義を読んで、よりわかった気がします。ありがとうございました。

こちらこそ、コメントありがとうございました。さらに用語定義の記事を書き進めていきますので、よろしくお願いいたします!
  • 2013-04-21 22:14
  • Takashi Maeno
  • URL
  • 編集

コメントの投稿

コメントの投稿
管理者にだけ表示を許可する

Appendix

最新記事

検索フォーム

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード

QR