夜は、前野研究室の7名のM2(修士課程2年生)による修士論文審査会の練習。修論を提出した次の日に発表練習という強行スケジュールだったため、まとめ方には荒削りの面もありましたが、内容の濃さ・深さという面では7名全員ハイレベルでとても面白く聞かせて頂きました。すばらしい。外部へは未発表の部分もあるため詳細は書けませんが、7名の概要は以下の通り。理系では、ある二つの機能を組み合わせることによりユーザーの満足感・没入感が高まる画期的なヒューマンマシンインタフェースの研究。学会での反響がとても楽しみ。それから、理系出身者はあと2名いるのですが、そのうち1名は、プレゼンテーションで話者と客の一体感を持たせることにより理解度や満足度が上がるのではないか、という斬新な視点の研究。荒削りな面もあるが、常識を打ち破る結果も一部出ており、未知分野に踏み出した勇気と熱意が彼もすばらしい。もう一人の理系出身者の研究は、世界平和のための紛争解決のための新しいフレームワークの提案という、スケールが極めて大きい研究。平和学にシステムズエプローチを持ち込み、文系の学問だった平和学を大きく整理するという画期的な試み。しかも、ヨーロッパに何ヶ月も行って研究に厚みを持たせた。これに少し似ているのが、地域活性化のための「メタ目的化」フレームワークの提案。こちらは紛争ではなく合意形成だが、「目的をメタ化する」ことを中心にすえ、システマティックなハードシステムズアプローチとシステミックなソフトシステムズアプローチを上手く複合させた大きな構えで方法論提案をし、実際に公民連携事例を積み上げている。すばらしい。5人目は、フランスとアメリカに学ぶ新たな地域支援型農業(CSA, Community Supported Agriculture)の提案。農業従事者やステークホルダーの幸福・安全・経済的満足を定量化するという斬新な視点も面白い。CSAは人々を幸せにする農業! 6人目は、音楽等を制作する会社に勤務する学生の研究。音楽制作会社、アーティスト、リスナーの協働の有効性を定量的に検証している。実際にイベント等の協働の場を提供してリアルな研究をしている迫力がすばらしい。7人目も、実践的研究。若手アーティストと消費者をつなぐファブリック(生地や織物)の販売サイトSEEDFOLKSを実際に開始し、コンペティションも実施。そしえ、そのビジネスモデルの有効性を定量的に検証。こちらも実際に事業を開始してその有効性を検証するという現実性がすばらしい。以上、学術的研究から実践的研究まで、どれも常識にとらわれずスケールの大きい様々なシステムのデザイン。どれもおもしろい。みんな、ハイレベル。すばらしい。これだから慶應SDMはやめられない。
CSAについての論文内容に、とても興味があります。私は昨年、仕事を辞めて3ヶ月間アメリカのオーガニック農場で研修してまいりました。そこ知ったCSAは、これからの日本にとって必要となる仕組みでは、と考えていたところでした。
私の様な一般の者でも、読める機会はありますでしょうか?