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3 慶應SDM用語辞典「システム」

今日から第3章。言葉の定義に入ります。先ずはシステム。

「システム」
まず、慶應SDMにおける、「システム」の広義の定義について述べよう。
システムとは、複数の要素が相互作用するとき、その全体のことである。そして、システムは創発する。創発とは、要素の振舞を見ていても生じない振舞が、要素の相互作用するシステムにおいては見られるということである。
たとえば、弓矢はシステムである。弓と矢という複数の要素から成り、両者が相互作用することによって私用されるから。では、矢はシステムか。一見、一つの要素から成るように思えるかもしれないが、手で持つ部分と突き刺さる部分から成り、複数の要素があることによって成り立っているからシステムである。情報システムも、交通システムも、組織も、社会も、人間も、システムである。抽象的なシステムもある。言語や価値もシステムである。幸せや感動や誠実や憎悪も、その概念は複数の要素から成り立つのでシステムである。
なお、システムズエンジニアリングにおけるシステムの定義はやや狭義なので注意が必要である。
INCOSE(International Council on Systems Engineering)ハンドブックに掲載された定義は以下の通りである。
システムとは、定義された目的を成し遂げるための、相互に作用する要素(element)を組み合わせたものであり、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、人、情報、技術、設備、サービスおよび他の支援要素を含む。狭義である点は、「定義された目的を成し遂げるための」という条件が吹かされている点である。これは、「システムとは」ではなく「システムズエンジニアリングにおいてデザインの対象とするシステムとは」についての説明であると考えれば納得がいく。つまり、一般的には、設計者がデザインする対象ではない太陽系(Solor System)も社会(Social System)も広義のシステムであるが、これらが何らかの目的を達成するためのものではないことは自明である。
つまり、ややこしいが、SDMでは、設計対象であるシステムと、設計対象を取り巻くシステムを、いすれもシステムと定義する。なぜこのようにシステムズエンジニアリングよりも広義の定義をする必要があるかというと、たとえば社会学者ルーマンが社会システムと言うときに定義するような、その構成要素の振舞いを完全には記述できないような、不確定性を含むシステムも研究・教育の対象とするからである。
ただし、実はシステムズエンジニアリングにおけるシステムの定義は拡張されつつある。システムズエンジニアリングの最先端の一つに、システムオブシステムズ(system of systems)という概念があるが、前者は広義のシステム、後者は狭義のシステムである。つまり、たとえばインターネットのようなシステムは、定義された目的を成し遂げるためのシステムの集合体であり、必ずしも全体システムはなんらかの目的を成し遂げるためのものではない。よって、システムズエンジニアリングにおける定義を超えている。これは、システムズエンジニアリングがその学問の範囲を拡大したことによる矛盾である。このため、システムズエンジニアリングの世界では、従来の狭い意味でのシステムズエンジニアリングをTSE (Traditional Systems Engineering)と呼ぶという流れも出てきている。この場合、広い意味でのシステムズエンジニアリングにおけるシステムの定義は、SDMの定義と同じである。
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