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本を出します! 『ウェルビーイング』『ディストピア禍の新・幸福論(仮題)』など

2022年3月、4月、5月に本を出す予定です。

(1) 3月に出るのは、『ウェルビーイング』(日経文庫)。妻の前野マドカとの共著です。3/19発売予定。すでにアマゾンにも載っていますね。これは「ウェルビーイング」についての解説書です。学術界、政界、産業界etcにおけるウェルビーイングの動向について2人で語っています。本書の「はじめに」をこのブログの後半に掲載します!

(2) 4月には、ホワイト企業大賞やSalon de Tenge(天外さんのオンラインサロン)でもご一緒させていただいています天外伺朗さんとの対談本がワニ・プラスから出ます。『無意識の整え方』以来、何冊か出してきた、無意識対談シリーズ。ついにウェルビーイング界の長老(!?)天外伺朗さんとの対談。成人発達理論や実存的変容についての天外さんのお考えを楽しく聞き出しています。いまのところの仮題は『語り得ないものを語る』(変わるかもしれません)。出版をお楽しみに〜。

(3) そして5月には、還暦記念集大成の280ページ、2200円の本をプレジデントから出します。私の代表作である『脳はなぜ「心」を作ったのか』『幸せの日本論』『幸せのメカニズム』『ウェルビーイング』を足して発展させたような内容です。力作です。世界への愛を思いっきり語っています。タイトルは『ディストピア禍の新・幸福論』。こちらもお楽しみに〜!

というわけで、毛色の違う3冊を3月から3連発! ちなみに妻の前野マドカも、3月は私との共著『ウェルビーイング』(日経文庫)、そして4月には子育ての幸せについての単著『子どもの人生を豊かにする4つの心の育て方』(あさ出版)を出版予定。マドカの単著も楽しみですね〜。

どれもいい本です。読書の春です。お楽しみに〜。

ついでにいうと、今年の初めから毎朝6時にVoicyやってます。「前野夫妻の幸福学TIPS」。こちらはカジュアルに5〜10分、幸福学についてのヒントを語るもの(というか夫婦でリラックスして笑っているだけという噂も)ですが、こちらもぜひご試聴ください! よかったら、フォローしてください! さらについでにいうと、ウェルビーイングな社会を広めるために行っている一般社団法人ウェルビーイングデザインの活動をわかりやすく紹介するために、社団のホームページを一新しました。こちらもぜひご覧ください。幸せに生きるためのヒントがいっぱいです!

というわけで、いろいろと話がそれました(笑)が、今日の目玉は、『ウェルビーイング』(日経文庫)の「はじめに」。以下に掲載します。ぜひ、読んでみてください!





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『ウェルビーイング』(日経文庫、2022)の「はじめに」

私たち夫婦が大学でウェルビーイング(幸せ、健康、福祉)の研究を本格的に始めてから10年以上になります。始めた当初は、まだSDGsも始まる前でした。当時は、あやしい研究を始めたと訝しがられたものでした。あれから10数年。2022年1月の日本経済新聞の記事に「2022年をウェルビーイング元年に!」という文字が踊る時代になりました。隔世の感があります。

かつて福沢諭吉は、著書『文明論之概略』の中で、明治維新前と明治維新後の変化について、「恰(あたか)も一身にして二生を経るが如く、一人にして両身あるが如し」と述べました。福沢は生涯の前半33年を封建制の江戸時代に、後半3年を明治に生きた人です。まさに1人の身ながら2つの全く異なる世界を生きた人だったのです。

ウェルビーイング元年前とウェルビーイング元年後を明治維新前後と比較するのは大袈裟ではないか、と思われるかもしれません。しかし、現代は、明治維新前とよく似た状況だと私は思います。

世界の歴史を俯瞰すると、人類はある面で同じことを繰り返してきたといえるのではないでしょうか。ある時代が続くと、制度が疲労し、既得権益が広がり、格差が拡大し、不満が広がります。社会の歪みが蓄積するのです。そんなとき、革命が起きたり、戦争が起きたり、恐慌が起きたりします。そして、蓄積された歪みが解放され、オールクリアさます。

面白い数字があります。明治維新(1868年)から77年後が、第二次世界大戦の終戦(1945年)です。そして、終戦から77年後は、2022年なのです。

もうおわかりでしょうか。江戸時代末期は黒船をきっかけに幕府派と討幕派が争う時代でした。そんな歪みがオールクリアされたのが、明治維新でした。また、世界のパワーバランスの変化による歪みが爆発したのが第二次世界大戦でした。

つまり、社会は77年くらい経つと、様々な歪みが蓄積して混乱するということなのではないでしょうか。社会秩序が老朽化し、格差が拡大するからです。また、77年は人間の寿命に近い数値です。77年前のことを知っている人が少なくなると、過去の過ちに学びにくくなることも、次の革命や争いが勃発することに影響するのではないでしょうか。

だからといって、2022年に革命や戦争や恐慌が起きると予言するつもりはありません。しかし、人間の社会は80年くらい経つとあらゆる歪みが蓄積し混乱に至った歴史があるということは、教訓にすべきでしょう。

第一章で述べますが、私たちは、明治維新に匹敵する激動の時代のキーワードはウェルビーイングだと思っています。いや、明治維新以上の、人類20万年の歴史の転換点というべきだとも思っています。

では、私たちは時代の転換点をどのように生きるべきなのでしょうか。その問いへの答えを、研究、経営、地域、家庭、計測なとの分野に分けて、「ウェルビーイング」の現状という形で、私たちの視点から解説しました。なるべく一般的な解説書になるように努めましたが、あくまで私たちの視点からの書であることはご理解いただけば幸いです。なにしろ、現在は時代の転換点ですから、いろいろな考え方が出てきています。このため、異なる立場の論者・読者もいらっしゃるでしょう。そのような方は、こういう見方もあるのだと学ぶ機会にしていただければ幸いです。もちろん、私たちは、人類史20万年という長期的視点から、現実を直視した短期的視点までを、私たちなりに総合的に俯瞰した上で、ウェルビーイングについて公平かつ真摯に解説したつもりです。ウェルビーイングに関連した様々なことについて述べましたので、多くの方にとってヒントに満ちた書になったのではないかと思っています。

心より願っています。本書が、皆様の未来のために何かヒントになっていますように。皆様のライフ&ワークがウェルビーイングに満ち溢れたものでありますように。世界の生きとし生けるものが幸せでありますように。

本書は特に執筆を分担するというよりも、二人で対話しながら書き上げた共同作業です。本文の中では「私」または「私たち」という表現を使っています。「私たち」はもちろんふたりですが、「私」は夫婦のどちらかです。細かいことは気にせず読み進めていただければと幸です。社会の最小単位はパートナーシップであり、私なのか私ではないのかという区別をこえるところからウェルビーイングは始まるのですから。

それでは、「ウェルビーイング」の世界への旅をお楽しみください。

2022年2月 前野隆司・前野マドカ
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プロフィール

Takashi Maeno

Author:Takashi Maeno
慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科(慶應SDM)ヒューマンシステムデザイン研究室教授
慶應義塾大学ウェルビーイングリサーチセンター長兼務
前野隆司

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