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空海と大日如来

「お坊さん、教えて!」、始まりました。

4月から12月まで、様々な宗派のお坊さんに以下のことをお聞きしていく予定です。

•あなたの生い立ちは? なぜお坊さんになられたのですか? 最初からなりたかったのですか? あなたの活動は? 特に、宗派を超えた活動や、宗教を超えた活動は?
•あなたが根源的に目指すことは? 世界平和? 自己の充実? すべての物質の安寧?
•あなたの宗派の教祖はどんな人? 成り立ちは? あなたの宗派が根源的に目指すことは? 人を幸せにすること? 各宗派の一押しの教えは? たまらなく魅力的な点は?
•大乗仏教と上座部仏教の違い、大乗仏教各宗派の違いとは?(各宗派の立場から)
•考え方の、日常への取り入れ方のポイントは?
•お坊さん自身は、お坊さんとして活動していてどう変わった? これから目指すことは?

で、第1回は、真言宗の僧侶、早川智雄さんと松村妙仁さんにお越しいただき、お話をお伺いしました。ナビゲーターは、空海マニアの多摩美大教授安藤礼二先生と、私。動画はアーカイブとして事後にも試聴いただけます。
https://www.youtube.com/watch?v=yamm9fIc9rs

2回目以降も各宗派のすてきなお坊さんに登壇いただきます。楽しみにしていてください。
https://www.facebook.com/お坊さん、教えて

さて、第1回目のことを書きたいと思います。

一番印象に残っていることは、ふたつ。空海はロックンローラーだったということと、みんな大日如来なんだよという話。

空海はロックンローラーというのは、安藤先生がおっしゃっていたことなので、知りたい方は動画をご覧ください(笑)。

二つ目。まず、大日如来って、ご存知でしょうか? 私は、名前を聞いたことはありましたが、真言宗の御本尊だということを明確に覚えていたわけではありませんでした(不勉強ですみません)。しかし、今回の講座でしっかりと頭に刻みました。真言宗では、大日如来は、宇宙全体を体現するエネルギー。要するに、慈悲のかたまりです。しかも、真言宗では、私たち人間は全員、本来、大日如来のような完全性を持っている存在だと考えます。つまり、人間は、本来素晴らしい存在だったということを思い出していく存在だと考えるのだそうです。即身成仏とは、そのまま座禅を組みながら死んでいくことというイメージがありました(不理解、すみません。。。)が、そうではなく、私たち自身が大日如来なのだということに今ここで気づくことを意味するのだそうです。

私は、お話をお聞きしながら、スピノザを思い出していました。スピノザは哲学書『エチカ』の中で、神がいたとしたら、それは「神=自然」ということであるはずだということを数学の証明のように論じました。科学に立脚する私としては、大日如来=自然と考えると、私たち人間は自然の一部であり、自然界にある原子と分子でできていると考えられますから、自然=私たち。つまり、大日如来=自然=私たち。すべては同じく自然の一部なのだから、存在に感謝し愛しみながら生きるべきなのではないか。

真言宗の教えは、私には、これからの人類が持つべき科学的なリテラシーに聞こえました。逆に、早川さんは「前野先生の中には大日如来がおられることが見えます」とおっしゃってくださいました。このやりとりから感じたことは、科学と宗教(真言宗)は、同じことの別の解釈であって、対立する主張ではないのではないかということ。科学的な説明が腑に落ちる人はそれに基づけばいいし、スーパースター空海が日本で始めた真言宗が腑に落ちる人はそちらに従えばいい。

日本に渡ってきた仏教だけが、動物、植物だけでなく、鉱物も仏性を持つと考える、という解釈にも共感しました。138億年前のビッグバン以来、宇宙を構成し、多様で豊かなインタラクションを繰り返してきた構成要素たち。すべての構成要素たちを愛おしく思うとともに、自分も構成要素の一部であることに、心からの安心感と共感を感じながら、早川さん、松村さん、そして安藤先生のお話をお聞きした2時間でした。有り難うございました。宇宙の営みに感謝。

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プロフィール

Takashi Maeno

Author:Takashi Maeno
慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科(慶應SDM)ヒューマンシステムデザイン研究室教授
慶應義塾大学ウェルビーイングリサーチセンター長兼務
前野隆司

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