私は、環境問題、貧困問題、パンデミックの問題など、well-beingの問題が逼迫する現代の人類にとって、最も重要な価値観だと思うから、well-beingの研究を行ってきたわけです。「SDGsと似てますね」と言われることがありますが、SDGsが脚光を浴びる前から、私はwell-beingが重要だと言ってきました。さらにいうと、ポストSDGsだとさえ思っています。MDGsからSDGsへと進展しましたが、現代とは、人類が「右肩上がりの成長から、定常的な繁栄へ」とパラダイムシフトする局面だと思うのです。クラウス・シュワブさんはそれを「グレート・リセット」と言いますし、ジョアンナ・メーシーさんは「グレート・ターニング」と言います。同じことです。京大の広井先生の「定常社会」も、原丈人さんの「公益資本主義」も、新井和宏さんの「共感資本」も、ハラリさんの「サピエンス全史」も、同じ文脈です。興味深いことに、実はSDGsはその名称に旧パラダイムと新パラダイムを含んでいます。旧パラダイム=デベロップメント(開発・成長)、新パラダイム=サステナブル(定常・成熟)。つまり、SDGsとは、期せずして、というか、皮肉にも、大きなパラダイムシフトの過渡期を表す名称なのです。パラダイムシフト後は、WGs(ウェルビーイング・ゴールズ)になるべきだと私は思います。ゴールという名称も相応しくないかもしれません。人類がいまここにwell-beingであること。Well-Being As Is。 (ちなみに、well-beingはSDGsの一つになっているため、SDGsのサブシステムであるようにも見えますが、SDGsでいうところのwell-beingは狭義の健康を表している傾向がありますので、私としては、次世代システムでは包含関係を逆転すべきだと思っています。)
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