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幸せな金融機関は可能か?

みんなで幸せでい続ける経営研究会の会合で、この会のメンバーでもある第一勧業信用組合(以下第一勧信)の新田理事長のお話を聴いた。

新田さんは、元みずほ銀行の常務。巨大なメガバンクと小さな信用組合の経営をどちらも経験した経歴はユニークだ。みずほ銀行のころから「祭りに行く常務」として有名だったという。みずほではまわりから「祭りに行くのが趣味なの?」と言われていたそうだが、もちろん趣味ではない。地元の行事で汗をかくことで、地元と密着。地元の人々の生の声を聞き、地元のみなさんのために何をできるかを考えるため。

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第一勧信に移ってから3期6年。まず最初に行ったのは、職員全員と対話すること、集金を復活させること、祭りに出ること、だそうだ。

対話はもちろん、コミュニケーションを通して組織内の風通しを良くするため。集金は、顧客を窓口に来させる殿様商売を脱し、直接今日の売り上げを受け取ったりいろいろな話をすることによって、顧客の心を理解するため。祭りは、先ほども述べた通り、地元に溶け込み声を聞くため。なんと昨年、職員は延べ650回、祭りに出たという。実は、どれも、昔はどの銀行もやっていたことだという。

それから、とにかく顧客と話すこと。社長と会い、会社の理念を聞き、製品の特徴を聞き、強みを聞く。そして、工場に行く。そして、社長の思いに賛同したら、無担保でも金を貸す。「無担保で金を貸すなんて、リスクを取っていますね」といわれることがあるが、逆だという。「社長とじっくり話したり工場見学をしたりせずに金を貸す方がよっぽどリスクだ」と。

また、人事評価はやめたという。業績をあげたものを出世させるとノルマ主義が蔓延する。だから、心とスキルが成長したかどうかを、評価基準とする。特に、心の成長。心が成長した人を出世させるのだ。「人間は、成長をやめたら終わり。みんなで成長し続ける組織を作りたい」という。もちろん、ノルマは禁止。

個人表彰制度もやめたという。一人だけで何かを成し遂げることはない。必ず手伝う人がいる。だから、少なくともペア。なるべくチームで表彰する。

上下関係をフラットにするため、役職で呼ぶのもやめた。全てさん付け。営業課、庶務課といった課名も職名もやめた。すべてはお客様へのサービスだから。

これらを新田さんはリレーションシップキャピタルと呼ぶ。ソーシャルキャピタルは、社会におけるつながりを定量化する指標だが、個人間のつながりを表すためにリレーションシップキャピタルという言葉が適切だという。そして、それは幸せの4つの因子と関連するという。

みんなで成長し続ける、は「自己実現と成長」(やってみよう)の因子。
つながりはまさに「つながりと感謝」(ありがとう)の因子。
新たなことへのチャレンジは、「前向きと楽観」(なんとかなる)の因子。
他の銀行とは異なる新たな試みは「独立と自分らしさ」(ありのままに)の因子。

新田さんの以下の話が印象的だったので、図にしてみた。

「現代は、強風が吹いている時代。生き残るには二つの戦略しかない。一つは、風の上に乗って、アマゾンやアリババのように戦って勝ち残る戦略。もう一つは、ありとあらゆる根を張って、face to faceのつながりをしっかり作り上げて、それによって生き残る戦略。我々は後者をしているんです。リスクを取っているんじゃない。リスクがないからそうしているんです。中途半端だとリスクがあるんです。」

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新田さんは最後に、ティール組織の説明図を見せながら、ティール組織を目指すとおっしゃっていた。ティールとは、全く統治のない自由な組織形態。確かにリレーションシップキャピタルとの相性がいい。しかし、ティール組織の図を見ていただくとわかるように、組織形態は対比ではなく包含関係になっている。

狼の群れのように自己中心的なレッド組織
軍隊のように命令によって統治するアンバー組織
機械のように合理的・効率的なオレンジ組織
家族のようにみんなが調和したグリーン組織
自然林のようにインクルーシブでネットワーク的なティール組織

第一勧信が今どんな組織かというと、オレンジ的、グリーン的な要素も少なくないように思う。新田さんの合理的な戦略はオレンジ的。家父長型の家族主義のような強いリーダーシップはグリーン的。もっというと、すばらしいこととはいえ「祭りに行け」と号令をかける様や、既存の金融機関の常識に対して果敢に戦いを挑む様はアンバー的ともいえよう。メガバンクでの経験も経て、全ての組織形態を知っている新田さんだからこそ、ティールを目指せるのである。ティールは1日にしてならず、である。

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