【幸せは運か?】
西洋の心理学者による幸せ(well-being and happiness)についての解説論文に、東洋では「幸福」と「幸運」が同じ意味である地域があり、興味深い、と書かれていました。西洋では「幸福」と「幸運」が近い概念とは考えられないということでしょうか。
私自身、幸せは自分でつかむものであり、運ではないように感じます。皆さんはいかがでしょうか? 語源にあたってみましょう。
happy(幸せ)やhappen(起こる)の語源はhapという単語です。hapとは運。西洋の言葉happyも、語源は「運」なのです。
日本語の幸せの語源は、し・あわせ。何かをして運良く(あるいは運悪く)何かに巡り合わせるという意味です。つまり、こちらも「運」。
実は西洋でも日本でも、幸せの語源は運であるというのは興味深いですね。
自由意志はあるのか、それともすべては運命なのか、という古来の議論が想起されます。意識は能動的なのか、受動的なのか。拙著『脳はなぜ「心」を作ったのか』(ちくま文庫)の論点ですね。
先日対談した甲野善紀先生の言葉、「人間の運命は完璧に決まっていて、同時に完璧に自由である」(『表の体育 裏の体育』(PHP研究所)より)も同じ論点です。甲野先生の古武術は、すべてここが出発点になっているのだそうです。この話から始まった甲野先生との対談本『無意識と古武術(仮)』(ワニブックスの無意識シリーズの3冊目です)、夏に出る予定です。楽しみです。
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