近頃の若者について述べた以下の文章、どう思われますか?
「日本的中空構造のマイナス面を示すもののひとつとして、現在の若者たちを把えている無力感、無気力などをあげることができる」「その中核には結局何をしても「意味がない」「どうということはない」という底のない空虚感が存在しているのである。彼らを「正常」に戻すために、人生の目標や生き甲斐とやらを与えてやろうとする幸福な人は、底知れない空虚な冷笑の前にたじろぐことになるであろう」
これを読むと、確かに、今の若者は無力感と無気力に蝕まれたさとり世代(『さとり世代 盗んだバイクで走り出さない若者たち』(角川oneテーマ21、2013年))だ、といいたくなりますが、実は、この文章は、1982年に書かれた『中空構造 日本の深層』(河合隼雄)の一部なのです。高度成長期(1952-1972)とバブル景気(1986-1991)の狭間。私が20歳のころのことです。つまり、河合隼雄先生がいう若者とは、私の世代のことなんです。
私の世代の者は、自分の若い頃のことはすっかり忘れて「近頃の若者は・・・」と言いがちですが、同じことが幾世代にわたって繰り返されているだけなのではないでしょうか? メソポタミアの遺跡の文章にも「近頃の若者は・・・」と書かれているそうですし。。。
そして、無気力であることは本当に悪いことなのでしょうか。無気力は若者のせいなのでしょうか。大人たちが作ってしまった社会が若者を無気力にさせているのではないでしょうか。「近頃の若者は・・・」という声を聞くたびに僕は反論したくなります。
(拙著『幸せの日本論』に書いた文章を改変)
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