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非常識経営、幸福経営、人間性経営

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ホラクラシー経営を実践されているダイアモンドメディア株式会社の武井浩三さんが愛読書だとおっしゃっていたことに触発されて、遅ればせながら天外伺朗さんの『非常識経営の夜明け』(講談社、2008年)を読みました。名著です!

しかし、どなたかがおっしゃっていたようにいい本ほど売れないためか、実はもう絶版になっていて、中古でしか買えません。手に入れたい方はお急ぎください!

さて、内容は、いや〜、感銘深いものでした。勉強になりました。思っていた通り、というところもありましたが、思っていた以上、というところも多々。幸福経営(というか、フロー経営、人間性経営、ホラクラシー経営)を極めるとここまで来るか、という感じ。

せっかくなので、熱いうちに、自分の復習の意味も込めて述べてみます。長いです。。。

【思っていた以上の衝撃があったところ】

・やり過ごし経営(経営者は、組織の全員または幹部に対して「自分の指示・命令がそぐわないと思ったら、いつでも勝手にどんどん無視していいよ」と宣言)を推奨(やり過ごしてきない部下は無能)(やり過ごし宣言できる企業には条件あり。p58参照)

・「正しいか?正しくないか?」「良いか?悪いか?」「〇〇すべきか?せざるべきか?」といった常識的判断よりも「ちょっとアホ」な経営の方が優れている(カッコつけ、虚栄心、業界の評判を気にする、などはだめ。心の底から楽しむべき。遊び心、いたずら魂が大事。分析して効率化するより、細かいことは手を抜いて「どんぶり勘定」せよ))

・アホな質問を歓迎せよ。古い脳から発せられていて、物事の本質が見えるから。

・マネジメントはアホに限る。

・経営者はひたすら「ただ存在する」ことに徹すべき(老荘思想に学ぶ長老型マネジメント)

・最上の指導者は、虚栄心がないから、誰にも知られないものだ(知られているうちは自己顕示欲がある)

・過度な数値的分析は避ける。直感的把握を重視

・死の体験は大事。企業は倒産の危機に瀕した時に大きな変容を遂げられる(また、個人の病気は死と対面できるので意識の変容のために有効)

・怒りを抑圧している人は、喜びなどの他の感情も抑圧している可能性がある

・「ほめる」のはご法度、他人の評価に依存させてしまうから

・部下がボンクラに見えたら、それは部下のせいではなく、その本人(上司側)の問題(みんなの可能性を信じて伸ばすべき)

【一般の経営学とは違うが幸福経営とは近いと思ったところ】

・信頼が大事

・ボトムアップが大事(現場への権限移譲が大事、コントロールされない自律的チームであるべき)。なるべくルールは少なくして各自の常識に委ねる

・会社の情報を全社員に公開すべき

・トンチンカンなことが起きてもいい(起きた方がいい)

・フロー状態に入ることがすさまじい能力を引き出すことにつながる

・新皮質型の経営ではなく、古い脳を抑圧せず活性化すべき(直感を重視せよ)

・上司は「心の底から部下の成長を願う」べき(演技はバレる)

・企業経営で大事なことは、まず自分が楽しいこと。次に仲間やお客さんが楽しいこと

【経営学というより幸福学として合意する点】

・幸せな子供時代を経験していない人は自己受容に問題が生じがち

・他人の目を意識しすぎないようにすべき。そのために、情動や身体からこみ上げてくるメッセージに耳を傾けるべき

・他人の目を気にして相対評価の罠にはまっている人は、ギラギラした自己顕示欲のかたまり

・本来の人間は、身体の奥底からふつふつとこみ上げてくる至福感に浸っていられるのだ

・自分を生きる幸せな人は、芸を極めた職人さん、お百姓さん、アーティストの中に多い

【これではだめな合理主義経営】

・上位下立達型ピラミッド組織

・経営戦略・方針は幹部が決めて組織に徹底

・ルールを具体的に制定・規定

・経営の内容を正確に数値的に把握し分析

・情報開示は階層に応じて制限

(↑うーん、これって、SDMの中心的教育と似ていないか???)

【部下による上司の評価システム】
p218。これはつかえる。

【ルール・規則の弊害】p222
・会社の本来の目的への注意が留守になる
・幹部社員に空虚な安心感を提供する
・非生産的で不要な業務を生み出す
・もう役に立たない古いやり方に固執するようになる

【経営の4要素】p228
・直感
・幸運
・失敗の体験
・セレンディピティー(偶然の賜物)

【セムラー経営学の要点】p230
・省略

自分のためのメモなので今日はここまでとしますが、いつかじっくり考察も述べたいと思います! ちなみに、この本があまりに面白かったので天外さんの『マネジメント革命』『般若心経の科学』も購入しました!届くのが楽しみ!
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[C52] 常識の打破と非常識

常識を知らずして非常識になるのは危険。それは世間知らずのただの阿呆になってしまう。

常識を知ったうえで、常識を打破するために非常識になってこそ開ける道があるのだろう。
  • 2018-06-21 17:17
  • 森田研究員元気MORIMORI
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プロフィール

Takashi Maeno

Author:Takashi Maeno
慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科(慶應SDM)ヒューマンシステムデザイン研究室教授
慶應義塾大学ウェルビーイングリサーチセンター長兼務
前野隆司

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