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世界の幸せを祈るブータンの人々(3/7)

ブータンの至る所にある以下の旗。最初に見た時は、品質が高いわけでもないし、原色が景色にマッチしていない気がして、どうなんだろうと思ったものでした。しかし、ブータンの方にお話を聞いてみると、すばらしいブータンのシンボルだと思うようになりました。

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写真に写っているのはJICAの高野さんと私

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白は金属、青は水、黄色は土、緑は木、赤は火。つまり、物を構成する要素を表しています。それぞれにはお経が書かれています。ブータンはチベット仏教に近い大乗仏教の国。ブータン人にとっての大乗仏教とは「みんなが幸せになりますように」というブッダの想いを伝えるもの。旗にお経が書かれているのは、旗が風に舞い、ブッダの想いが宙を舞って世界に広まり、世界中が幸せになることを願ってのこと。

ガイドのウゲンさんと、あるお寺にお参りした時、「自分のことだけでなく、みんなのことを祈るのがブータンのやり方です」といわれました。はっとしました。日本の仏教も大乗仏教ですが、果たして日本の多くの方は、世界中の人々の幸せを祈っているでしょうか。

「ブータンの方はみんな、世界の皆のために祈るのですか」とウゲンさんに尋ねたら、自分の場合は、子どもの頃に、おじいさん、おばあさんから、そうするようにと教えられた、みんなもそうだと思う、とのことでした。日本人が忘れかけている大切なことが人々に伝わり浸透している国なんだなあ、と思いました。

ちなみにウゲンさんのいうみんなとは、ブータン仏教でいう6世界(人間界、天国、地獄、動物界など)のすべての者、という意味だそうです。彼らは輪廻を信じていて、徳を積むと来世で人間に生まれる等のいい世界に行けます。徳を積まないと困難な世界に行く、というわけです。たとえば、他人に対して怒ると徳を積めないから、ブータンの人は、怒る人が少ないそうです。わがままな人も少ないとおっしゃっていました。みんなの幸せを願い助け合う心が、生活の中に根付いているのです。

神がみんなを愛したように、みんなも他人を愛しましょう、というキリスト教にもある意味似ているかもしれません。僕自身は宗教に対して中立ですが、少なくともブータンの方の仏教的宗教心には、日本人が学ぶべき点があると感じました。

日本語で悟りというと宗教臭いと感じられるかもしれませんが、英語では、extreme happiness(強い幸せ)というそうです(ブータンの方は基本的に英語で学校教育を受けているため、英語が堪能です)。enlightment(光を感じること)とか、awakened(目覚めた) ともいいますが。1970年代に第4代国王が打ち出したGNHというコンセプトは、実はブータン仏教そのもので、ブータン仏教から見ると特に新しくはありません。経済的発展と同じくらい人々の幸せが重要というのは、ブータンの人にとっては(いや、世界のどの人にとっても)前から分かっていたことなのだと思います。ただ、それを、現代経済学用語と対比できるキャッチーな用語で表し、現代へのアンチテーゼとして問題提議し、しかも定量的に計測しようとしている所が、世界から注目されているポイントだと思います。

そういう意味では、GNHは確かにしたたかな宣伝でもあります。中国とインドという大国に挟まれたブータンがGNHというコンセプトを打ち出し、小さいけれども重要な国と世界に認知されることは、安全保障のためにも重要なことなのだと、何人もの方(ブータン人、日本人、西洋人)から聞きました。

そんなわけで、私にとって最も印象的だったのは、ブータンとは、「人々が幸せな国」というよりも、「人々がみんなの幸せを願っている国」であるということでした。幸福学の研究によると、利己的な人よりも利他的な人の方が幸せであることが知られています。まさに、個人主義的な世界では忘れられがちな、世界中の人々の幸せを願う国、ブータンでした。


Happiness from Bhutan (short) ブータン人にとっての幸せ(関健作)という動画を見つけたので転載します。

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