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読売新聞に掲載

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2014年11月15日の読売新聞夕刊に掲載されました。

1、幸福学とは、どんな学問ですか。
「幸福とは何か、どうしたら幸せになれるかを追究する学問です。幸福な人には健康な人が多いなどと、幸福に影響するとされる要因を明らかにしようとする多くの研究が、心理学や経済学の専門家らによって行われています。私は工学者の立場から、幸せのメカニズムを解明し、どんな製品やサービス、街づくりを手がけたら人々が幸せになれるかについて研究しています」

2、幸せはどのように測るのですか。
「例えば、『あなたは幸福ですか』とアンケートで気持ちを尋ねる方法、収入や健康状態などを調べる方法があります。経済成長最優先の考え方が行き詰まったことなどを背景に、幸福の研究は2000年代から盛んになりました」

3、先生の研究について教えてください。
「私は『ものごとが思い通りにいくと思う』『自分のすることと他者がすることをあまり比較しない』を始め87の質問を用意し、約1500人の日本人に尋ねてコンピューターで分析しました。味覚に甘い、辛いなどがあるように、幸せの4つの因子(要素)を求めて、名前を付けました」

4、それは何ですか。
「『やってみよう!』『ありがとう!』『なんとかなる!』『あなたらしく!』の4因子です。ひと言でいうと、夢や目標を持ち、人とのつながりを大事にし、前向きに、自分らしく生きる。四つ葉のクローバーみたいに、4つがそろうと幸せになれるということです」

5、研究成果をどのように広めていますか。
「大学院生と一緒に『幸せカルタ』を作りました。取り札に、『成長は成功に勝る』『お金は人のために使え』『隣の芝は青くない』などと、幸せにつながる言葉を書きました。私の研究室に通っている学生の過半数は社会人。利用する人々が幸せになるような製品、サービスを実現しようと、熱心に学んでいます」

6、幸福学研究のきっかけは何ですか。
「企業のエンジニアとして自動焦点のカメラ開発に携わった後、大学でロボットの研究を始めました。そこでは、人間に似せたロボットを作ることで、人間を理解しようと試みました。そのうちに、どうすれば人は幸せになれるのか、興味を持ちました」

7、著書『幸せのメカニズム 実践・幸福学入門』(講談社現代新書)で、幸福な社会への期待も述べています。
「皆さんは、おいしいものを食べたときにうれしいと感じるような一瞬の幸福を味わったことがあるでしょう。その一方で、いろいろな経験を重ね、成し遂げることで得られる幸せもあります。私は、『未来は明るい』と考えています。様々な分野の専門家と協力し斬新なアイデアを出しながら、幸福で平和な世の中を作っていきたいと思います」

8、略歴
前野隆司(まえの・たかし)
慶応義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科委員長、教授。博士(工学)1962年、山口県生まれ。東京工業大学大学院修士課程修了。著書に『脳はなぜ「心」を作ったのか』、編著に『システム×デザイン思考で世界を変える』などがある。

9、写真の説明文
「幸せカルタ」の札を読む前野隆司さん。「カルタの言葉から連想をして、アイデアを出すことにも使えます」(横浜市の慶応義塾大学大学院で)
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プロフィール

Takashi Maeno

Author:Takashi Maeno
慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科(慶應SDM)ヒューマンシステムデザイン研究室教授
慶應義塾大学ウェルビーイングリサーチセンター長兼務
前野隆司

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