何十年も前から気になっていることがある。
「先進国」と「途上国」という呼び方。
英語では,「Industrialized countries」と「Developing countries」だと習った。
(といっても昔の事なので,今は違うんだったら誰か教えてください。)
「Industrialized countries」と「Developing countries」を和訳すると,「工業化された国」と「発展しつつある国」だ。
「工業化された国」→「工業化が進んだ国」→「工業化先進国」→「先進国」
「発展しつつある国」→「発展途上の国」→「途上国」
というように省略したのだろうか。もしそうだったらあまりに乱暴ではないだろうか。
まず,「工業化が進んだ」ことと「先進」は関係ない。
それから,「発展しつつある国」を「途上国」と呼ぶのは,「Developing countries」を「-ing(進行形の) countries」のように省略していることになり,本質的な意味が欠落してしまう。
何より気に入らないのは,「工業化された国」である日本の優越感が見え隠れする点。
そもそも,「工業化された国」であるということは,優越ではなく,単に「工業化されている」という意味しかない。
工業化されたということは,生活が便利になったということでもあろうが,CO2を大量に発生するようになったということでもあり,文明に基づく様々なリスクを増大させたという事でもある。つまり,正の側面と負の側面があり,少なくとも「先進」という言葉とは直結しない。もちろん,環境破壊を「先に進めた」という反省の意味も含めて「先進」と呼ぶのなら私も違和感がないが,どうも,そうではなく,「先に進んだ優れた国である」というエゴイスティックなニュアンスが込められていないだろうか。
同様に,「developing」から「develop」を取り去り,「-ing(進行形)」だけを取り出してこれを「途上」と呼ぶセンスも受け入れがたいし,日本人として恥ずかしい。もっと,「まさに発展しつつある新しい息吹のみなぎった国」というような呼び名にできないのだろうか。
そういうわけで,「先進国」「途上国」という,はずかしい呼び方はやめませんか?
せいぜい「工業化国」と「工業化中の国」というべきだろうし,本当は,工業化でもって国を分ける時代自体が終わりつつあるのだと思う。
そういえば最近は「新興国」という呼び方もあるが,まあ,もっと,価値に中立にしましょうよ。マスコミの方や政府の方。
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