ある企業で、慶應ビジネススクール(KBS)の高木晴夫先生の「12人の怒れる男」のワークショップに参加する機会があった。高木先生はもともと生命型の組織論等の研究をされており、僕が10年前から関わっている故吉田和夫先生の「生命化」などと考え方が近いので、何か連携できないかと前からお話ししていたのだが、今回お話を聞けて有益だった。
下図は、高木先生のお話をもとに、自分の考えを書き加えた、従来型の会議と、自由でイノベーティブな「生命型」会議の特徴の模式図。

従来の定型的な会議(高木先生は要素還元的な会議と言われていた)では進め方の議論(メタ議論)は少ないが、チームでの各人の役割が不明ないしは不明確なワークショップ型の会議では、そもそも会議をどう進めるか、ということ自体も議論される。メタ議論と議論の間の行き来のトリガーとなる発言を策動発言(maneuver)と言い、そこで決めたルールに従わない発言やそれに伴う議論の発散を漂流(drift)というそうだ。
ワークショップでは、自分たちの発言が、①進め方の議論なのか、議論そのものなのか、②策動発言なのか、③漂流なのか、を意識しながら議論をした。内容は映画を見て、その続きを皆で予測するというもの。確かに、議論をしている際に①〜③を意識する訓練は有効だと思った。認知とメタ認知を同時に意識することによって、協創の効果を向上できそうだ。SDMでもやってみよう。これはプレゼンにも使えると思った。僕の授業「コミュニケーション」でも、プレゼンをする際には、内容の”説明”と、今どこを説明しているかという”メタ説明”を使い分けるように教えてきたが、説明しながらそれを意識させる演習というのができるかもしれない。
別の話だが、このワークショップで、もうひとつ思ったことは、多数決の危険性。意見に自信のある人も自信のない人も同じ1票にして多数決をすると、正しい意見が間違った意見に埋もれてしまう。だから、やはり議論をすべき。僕自身、会議では直感的になるべく多数決を行わないようにしてきたが、そうすべきである理由を体験できたと感じた。Pugh Concept Selectionの考え方にも通じるところがある。
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