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売り上げとレビュー数には相関があるが、売り上げと★の数には相関がない!?

幸福の因子分析によると幸福の条件の一つは「人の目を気にしないこと」だが、本を出すといつもアマゾンのカスタマーブックレビューでの評判(つまり人の目)が気になる。

1月に出した『「死ぬのが怖い」とはどういうことか』(講談社)のレビューは相変わらず厳しい(現在、6つのカスタマーレビューが載っていますが、★(星ひとつ)の酷評が5つ。ほめてくれている★★★★★の書評はわずか1つ。)。

実は売り上げは好調で、2ヶ月で4刷! うれてるんです。

講談社の方に「レビューがひどいけど売れる本ってありますかね?」と聞いたら「ないです」と断言された。「売れる本への悪いレビューは、(十分売れた後の)最後の方で出てくることはありますけどね」とも。

一方、読書メーターをみてみると、

●一切は空だ、というのはこういうことなのかと、朧げながらわかったような気に。
●信仰という方法に依らなくても、死を理解し受け入れるのは難しい話ではないのだと感じられる一冊。
●ルート4に一番納得。「死は嫌かもしれないけど怖くない。あなたには今しかない。」
●人生について考えるいい機会になりました。リラックス=悟りとは驚き。
●この問題に、自分と同じように子供のころから疑問と恐れを持って、答えを求めている人がいることを知ってうれしく思いました。


のようなポジティブないいコメントが並んでいる。ありがとうございます。
朝日新聞の横尾忠則さんの書評も、日刊サイゾーの書評も、わるくなかった。

これはどういうことか。

Amazonのカスタマーレビューはあえて自分の感想を人に見せるために書くところ。読書メーターはむしろ自分のための記録として感想を書き留めておいたものを公開するという趣旨。その違いはありそうだ。

それにしても、どうしてAmazonは酷評だらけなのか。本書を読んで気に入ってくださった方は静かに楽しんでくださり、気に入らなかった方は気に入らないことを思わず公開したくなる、という非対称な読後感を持つような本だということなのだろうか。確かに、哲学批判や、死後の世界の否定など、一部の方には耳の痛いようなことも遠慮なく書いたので、それが思った以上に響いた、ということなのかもしれない。もっと、ポジティブな側の方もレビューを書きたくなるような本にしないといけませんね。まあ、ここまできたら、「僕の本の中で最もアマゾンのレビューは悪いが、しかし、売れた本」というような、編集者の常識を覆す本になってほしいものだ。

気になったので分析。
(発行部数が赤裸々にわかっちゃうので、部数はあまり見ないでください...)
僕の本(単著のみ)のアマゾンカスタマーレビューの評価点、レビュー数、そして本の売り上げ(発行部数)の関係を調べてみた。すると、なんと、発行部数とレビュー数は比例しています(下図の右のグラフ)が、発行部数と★の数との相関はなさそう(左のグラフ)。

ということは、結論として、多くの方に読んでいただくためのバロメータとしては、カスタマーレビューの善し悪しに一喜一憂するのではなく、レビューが増えたことを単純に喜べばいいということだ。な〜んだ。納得。

ただし、あくまで僕の本に関しては、という話。僕の本はどちらかというと専門的で難解な内容を一般向けに述べようとしている傾向があるので、評価は高いが販売部数は少ない専門的なものや、想定外の読者層からの誤解が多いために部数は多いが評価が低いものなど、下記の結果になりやすい特徴を持っているのかもしれない。もっと売り上げ部数の大きい多くの本を対象にして一般的研究を行った場合には結果は異なるかも。う〜ん、奥深い。どなたか、この研究、いっしょにやりませんか?

スライド2

スライド1


とはいっても、アマゾンのカスタマーレビューは酷評だらけで納得できないので、しつこいですが、それぞれに反論を書きます。

「子供の作文」★ 2013/3/9
「永井均は精妙で奥深いが、この本はマヌケな高校生が書いた小論文の解答にしか見えない」だそうだ。こういう誤解を避けるために、永井先生流の哲学書とは目指す方向が90度違うことを丁寧に述べたつもりだったが、伝わっていないようで残念。哲学議論が不毛だからこそ書いたのだが… 哲学好きの方にはお気に召さないということだろう。以前、私の「脳の中の『私』はなぜ見つからないのか?」を読んでがっかりしたそうだが、なのに手を取っていただき恐縮です。業界の方かな。この方は僕の本にしかレビューを書いていないのが気になる。

「退屈」★ 2013/2/15
「いろいろな学問(哲学や物理学や生物学、あるいは宗教)の話が出てくるのだが、びっくりするほど皮相な理解で、よくこれで本を出そうと思ったなぁと、その勇気には感心した」だそうだ。いやいや、勉強して学問大系を理解しているつもりだし、専門外のことにも発言するホリスティックな立場の重要さも述べたつもりですが、伝わっていなくて残念です。この方も僕の本にしかレビューを書いておられないので、哲学かなにかが専門の方で、かちんときたからあえて初めてレビューを書かれたのでしょうか。

「言っている内容にかなり疑問を感じます」★ 2013/2/10
「死が怖くなくなるための「ルート」がいくつか提案されていました。面白そうなので読みましたが肝心な部分は殆ど納得できませんでした」だそうです。この方も、僕の本にしかレビューを書いておられなない。そんなに、レビューを書いたことのない方に、文句を一般公開したくなるような思いをわき上がらせる、悪役レスラーのようなパワーがこの本にはあるのだろうか(と、ポジティブにとらえてみる)。

「理屈で死の恐怖が乗り越えられるわけがない。」★ 2013/3/7
「いろいろ理屈が書かれているが、まったく心に入ってこない。」だそうだ。それは申し訳ない。もともと宗教や死後の世界を信じている人には伝わらないだろうと思いながら書いたのではあるが、やはり、立場の違う方には伝わらない本なのだろう。「この本を読んで、「人間は、最後まで死の恐怖から逃れられない存在である」と再確認した」そうなので、そういう意味ではある種の明確な読後感を持っていただけてよかったのではないかと思う。

「ちょっとこれは‥」★ 2013/2/23
「個人的な思い込みに近い話がダラダラ続く感じで説得力がまったく感じられませんでした」だそうです。もうしわけない。本の中でもしつこく述べたように、ロジカルに書くことに気をつけているので「個人的な思い込み」ではないんですが。ただし、科学的な内容だけを書いたものではないので「一人称的な想い」ではあります。伝わっていなくて残念です。精進します。

「誠実かつ合理的」★ ★ ★ ★ ★  2013/2/19
ああ、この方だけ★ ★ ★ ★ ★。ありがとうございます...
しかし「この題材で著者の狙いが読者にちゃんと伝わるか、正直いって疑問があります。スピリチュアル系の本のように、何かの教えを心から信じれば死の恐怖なんか消えてみんなハッピーになれます、という展開を放棄しているためです。」というコメントも。


(追記)フェースブックにもこの話を載せたら、茂木健一郎さんが、匿名でレビューを書く文化はよくない、amazon.comのように Real Name を載せる制度を日本のアマゾンも早急に導入すべきだ、とおっしゃっていた。確かにその通りだと思う。
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コメント

[C10] 前野さん、はじめまして。

僕も、Amazonレビューの酷評に驚いているひとりです。
僕はスピ本も読みますし、永井さんの本も読んできましたが、そのことで前野さんの新刊の評価が下がることはありませんでした。
なぜなら、タイトル通り「死ぬのが怖いとはどういうことか」にキッチリ答えてくれていますし、死の恐怖を和らげる考え方として「既に死んでいるようなもの」という捉え方はストン!と腑に落ちました。
死後の世界に半信半疑のまま、すがりついているより健康的な考え方だと思います。
僕は、死後の世界も神も超能力も否定しきることはできませんが、それでも前野さんの新刊には納得し、大いに癒されました。
僕にとっては変な言い方ですが、スピ本の良書のような感じなんです。
  • 2013-03-20 22:17
  • ロン
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  • 編集

[C11] はじめまして

コメント、ありがとうございます。
酷評する方は、実際にそう感じられたのだから、しかたがないと思っています。申し訳ない気もします。
しかし、ロンさんのようなポジティブなコメントをいただけると元気が出ます(それも幻想とはいえ)。。。 ありがとうございました!
  • 2013-03-21 06:15
  • まえの
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  • 編集

[C47] 共感しました

私もAmazonで酷評を受けました。
こういうのは、実際に体験した者でないとわからない感覚かと思います。
何ヶ月もかけて書いた本、そして実名で出した本を、ちょっと読んだだけで、匿名で非難されるというのは、あまりにもアンフェアであると感じました。

匿名でレビューを書く文化というものと、たたかっていきたいと感じています。
匿名のレビューというものは、結局のところ「便所の落書き」でしかないということかと思います。
  • 2017-05-09 17:10
  • Yoshio
  • URL
  • 編集

[C48]

見た感じ肯定的なコメントが目につきますがそれは所詮このブログ込での感想に過ぎないと感じます。理解されないと嘆くのであれば共感してくれる者を探せばいいし、反論したいのであればディベートできる場を設ければいい。消費者全てに言えますが大衆向けでは無いものは批判される性にありそれは今の時代、システム的にしようがないことです。

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