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新年度の開始にあたって Let's make a better world!

SDM全学生、教職員に送ったメールを転載します。


オールSDM(SDM全学生、教職員)の皆様へ

2011年4月より第2代研究科委員長を仰せつかりました
前野隆司です。在校生は特に新年度の開始に当たり一堂に
会する機会もありませんので、この節目に、ぜひオール
SDMの皆様にメッセージを、と思い、メールいたしました。
Let me send you my message. English version is at the end.


1.再出発

まずは、震災でご自身やまわりの方が被害にあわれた方、
つらい思い、悲しい思いをされている方々が、少しでも早く
心を癒し、再出発できますことを、心より願っています。
何か、私に、あるいは、SDMに、できることがありましたら、
何なりとおっしゃってください。
いろいろな形で、お力になりたいと思っています。

さて、3月10日までの日本では、日本の経済的地位の低下、
政治の液状化、領土問題、TPP、外交問題、財政赤字問題、
少子高齢化、デフレ、地球環境問題、南北問題、紛争の
問題など、様々な問題による閉塞感が蔓延していました。

そして、3月11日。
上述の数々の大問題が吹っ飛ぶかのような、大震災と
電力危機が起こりました。戦後日本最大の危機です。

今後、政治・経済・外交問題から、震災・エネルギー
問題まで、上述のあらゆる問題が、関連しあい、連鎖し
あって、極めて困難な、つらい時代がやってくるでしょう。
本当に、経済面でも、人の心の面でも、大変な日々が
長く続くと思います。

こんな困難な時代に、私たちは、ただ立ち尽くし、
途方に暮れているしかないのでしょうか?

私はそうは思いません。

大変な時代だからこそ、私たちは、歯を食いしばり、
前を向いて、力強く歩んでいかねばなりません。

SDMのコンセプトは、

「綻びを見せ始めた日本の技術・社会システムの再構築を先導する」

です。

この、悲しくつらい今だからこそ、皆で力を出し合って、
SDMから、日本を、世界を、再構築していこうでは
ありませんか。


2.SDMはすべてを持っている

日本や世界を再構築、なんて大きなことを言っても、
そう簡単に実現できるはずがない。
そうおっしゃる方がおられるかもしれません。

しかし、私は、「SDMはすべてを持っている」と思っています。

まさに、

「綻びを見せ始めた日本の技術・社会システムの再構築を先導する」

ための、方法論、手法、人材、国際ネットワーク、
すべてを、です。

基盤となるシステムズエンジニアリング。
皆で協力して新しい世界を創造するALPS型のデザイン思考。
プロジェクトマネジメント、国内外連携マネジメント。

私たちは、あらゆる学問の壁を超えた、
世界随一の学問体系を持っています。
あとは、それを、使いこなすだけです。
実践するだけです。

4年目を迎えたSDMは、そんなフェーズに
いるのです。

私たち、オールSDMが、それを自覚し、自信を持ち、
協力し、助け合えば、SDMは、世界や日本を救う
救世主になりえます。
教育によりリーダーを排出するとともに、
研究や様々な活動により困難な問題を解決して
ゆくことによって。

私は、そう信じています。



3.あなたはSDMのために何をできるか?

そのために、SDMの可能性を信じ、信頼しあい、
一致団結しようではありませんか。

ぜひ、団結して、皆の力を出し合いましょう。

ひとつ、お願いがあります。

学生の皆さんにも、教職員の皆さんにも、
ともに思い描いていただきたいことが
あるのです。

それは、SDMに教育をしてもらうのではなく、
自分のノルマだけをこなせばいいのではなく、

「自分がSDMを創っていくのだ!」

という気概を、ぜひとも全員に共有して頂きたい、
ということです。

Ask not what SDM can do for you.
Ask what you can do for SDM.
です。
(誰の言葉かわかりますよね。答えは英語版の中に。)

SDMの素晴らしさは、多様性です。
多様な人がいて、多様な学問がある。

多様な人々が知恵を出し合えば、
あらゆる問題は解決できるはずです。

あなたは、あなたの個性をいかにしてSDMの中で
のばしつつ、生かすか。それによって、世の中を
どのように良くするのか。

つまり、

「自分はSDMのために何ができるのか?」

「自分は日本や世界のために何ができるのか?」

「自分の役割は何か?」

それを、自問してみていただきたいのです。

ぜひ一緒に、よりよいSDMを創りましょう!
そして、よりよい日本を、世界を、創りましょう。
宜しくお願いいたします。


4.ポジティブに

そして、夢を持ち、理想を掲げ、ポジティブに、
前向きに、進んでいきましょう。

私ごとですが、私の名前は前野隆司(まえのたかし)。
前の野に広がる目標は隆々として高いが、
それを司って(マネジメントして)いこう!
そういう意味です(!?)

目の前の高く険しい目標を、皆で目指していきましょう。

ネガティブな、ないし、第三者的な批判は、やめましょう。
もちろん、問題があったら大いに議論すべきですが、
何かを批判するときは、必ず「ポジティブな代案」を
デザインし、提案する。そんな前向きでオープンな
SDMを、ともに築いていきましょう。

SDMをよりよくするための議論は大歓迎です。
いつでも、些細な事でも、大きな事でも、
ご意見ください。議論しましょう。


5.まとめ

長くなりましたが、お読みいただきありがとうございました。
述べてきたことをまとめると、以下の通りです。

今年度は、激変の中のスタートとなりましたが、
これをゼロからのスタートのための好機と前向きに
とらえ、SDMは世界を先導する大学院だと本気で信じ、
力を合わせ、それぞれの個性を生かして皆で、SDMを、
日本を、世界を、創っていく。そんな、オープンで
ポジティブなスタートにしましょう。
ぜひ、宜しくお願いいたします!


1896年、晩年の福澤先生が演説された言葉を
最後に掲げ、結びの言葉に代えたいと思います。
僭越ながら、私と全く同じことを考えて
おられたのだと思っています。

老生の本意は慶應義塾を単に一処の学塾として
甘んずるを得ず。その目的は我が日本国中に於ける
気品の泉源、知徳の模範たらんことを期し、
これを実際にしては居家・処世・立国の本旨を
明らかにして、これを口に言うのみに非ず、
躬行実践、もって全社会の先導者たらんことを
期する者なれば、今日この席の好機会に、
あたかも遺言の如くにしてこれを諸君に
嘱托するものなり。

(現代語訳(前野訳))
年老いた私の願いは、慶應義塾が単にひとつの大学に
甘んずることでは決してない。慶應義塾の目的は、
我が日本国中における気品の泉源、知徳の模範たる
ことである。これを、家にいようと、世で働こうと、
国のために尽くそうと、いずれにせよ、口で言う
のみならず、身を持って実践し、義塾の皆が世界の
リーダーとなることを期待している。このため、
今回のこの機会に、あたかも遺言のように、これを
諸君に託すものである。(1896年、福澤諭吉先生)

前野隆司


1. New Beginnings
First off, I want to give my deepest condolences to those who have been affected by the recent disaster caused by the earthquake and tsunami. I wish everyone a speedy recovery and mending of the heart. If there is any assistance that SDM or I can offer, please do not be afraid to reach out to us. We would love to help you out in any form.
Leading up to March 11th, Japan was facing many economic and political challenges. On that fateful afternoon, a crisis that overshadows all other issues occurred. Hard times are far from over and we will face one of the hardest times as an individual, community member, and as a nation.
And during these hardships, are we to retreat into our homes and watch?
I do not believe so.
I believe that by facing these challenges head on and overcoming adversity, we will emerge as a stronger community, nation and the world.
I believe that we, at SDM, should be in the forefront of rebuilding our nation and the world through innovative social and technical systems.
I believe that we need to work together to make a better nation and the world.

2. SDM has tools and resources
When I say, “rebuild our nation and world”, it sounds like a very daunting task. However, I believe SDM possess the methodology, technique, capable people and global network needed to achieve this goal.
From the foundations of system engineering, to the endless potential of the ALPS program, we are presented with the opportunity to impact the world in a positive manner. I sincerely believe that with confidence, collaboration, and creativity, SDM will be a huge factor in rebuilding our nation and world.
Going into the 4th year since the inauguration of the SDM program, this seems like the appropriate mindset.

3. What can you do for SDM?
To achieve our goal, you should have full faith and trust in the potential of SDM.
Imagine an SDM community where each student’s attitude is to “build a better SDM”. Similar to what former President John F. Kennedy said, ask not what SDM can do for you, ask what you can do for SDM.
SDM draws its strength from our diverse students and diverse opportunities.
By combining these resources, I have confidence that we will achieve unprecedented tasks and shock the world.
So remember to always think about “What can I do for SDM?” , “What can I do for the nation and the world?”

4. Positivity
As a community, let us always keep a positive attitude and look forward to the future.
Of course, I am not expecting our program to be perfect in just four years, but if you find issues with any aspect of SDM, remember to have constructive criticism rather than just complaints. Remember that I am always open to discussing these issues with you.

5. Summary
To summarize:
・It is unfortunate that we must start the school year in a grim atmosphere, but consider this as a new beginning and grasp all of the opportunities presented in the new school year.
・By working together we will be able to achieve the unachievable.
・Remember to be positive about everything and feel free to discuss any issues with me.

I look forward to interacting with all of the students and faculty in the upcoming school year.
Prof. Maeno, Takashi. Dean of SDM, Keio University
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プロフィール

Takashi Maeno

Author:Takashi Maeno
慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科(慶應SDM)ヒューマンシステムデザイン研究室教授
慶應義塾大学ウェルビーイングリサーチセンター長兼務
前野隆司

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