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3 慶應SDM用語辞典「Vモデル」

システムズエンジニアリングの根幹となる考え方の一つであり、慶應SDMでもVモデルに則って考えることを基本としている。Vモデルには、Dual V-modelやWモデルなどの応用編も存在するが、誤解されがちなので注意を要する。Vモデルの基本は、単純である。Vモデルは、システム開発の基本的な流れ、すなわち、分解と統合、デザインとV&V(verification and validation)を表す。下図に示したように、左側はデザインがマクロからミクロに...

3 慶應SDM用語辞典「システミックとシステマティック」

システミックとシステマティックという言葉がある。どちらもシステムを論ずるときに使われる言葉である。ちなみに、システムズアプローチという言葉もある。システムとしてのアプローチという意味だが、よく見ると、システムズアプローチには、システミックなアプローチとシステマティックなアプローチがある。システミックとは「システムとして」という意味である。システム全体を、丸ごと全体として、という意味である。ホリステ...

3 慶應SDM用語辞典「システムの科学と哲学」

慶應SDMの基盤はシステムズエンジニアリングだが、近い学問分野として、システム科学やシステム理論がある。システム科学はSystems Science。システム理論はSystem Theory。いずれも、そもそもシステムとは何で、どのような挙動を示すものか、ということ自体にフォーカスするものだ。SDMではこれらの考え方が意識して教えられることは(私の講義やゼミを除くと)少ないけれども、本来は、システムについて考えるときの基盤となるも...

3 慶應SDM用語辞典「システムズエンジニアリング」

年初より、このブログのカテゴリ「SDM学の本の原稿」ではSDM学について連載することにしているが、2月16日に「システムデザイン・マネジメント」について書いて以来筆が止まっていた。初回(1月3日)のブログを見ると、システムズエンジニアリング/SE/システム科学とシステム哲学/システミック/システマティック/創発/モデリング/シミュレーション/UML・SysML/モデルベーストデザイン/システムアーキテクティング/ベリ...

3 慶應SDM用語辞典「システムデザイン・マネジメント」

ついに本丸。システムデザイン・マネジメントとは。「システム」「デザイン」「マネジメント」の定義については既に述べた。これらをつなぐと、「要素間が関係するあらゆるものごとに関する様々な問題を、社会のニーズを重視しながら新たにイノベーティブに解決できるソリューションを提案し、その妥当性・有効性を検証し、そして、そのソリューションを実際に運用していくこと」。要するに、あらゆる問題に対して、全体俯瞰的・全...

3 慶應SDM用語辞典「マネジメント」

「システム」「デザイン」ときたら、次は「マネジメント」の説明をせねばなるまい。なにしろ研究科名の一部である。慶應SDMでいうマネジメントは、経営、管理、運用という意味を含む。経営とは、まさに企業の経営というときに使われる意味だが、もうすこし小さな組織の運営も含む。組織の経営やプロジェクトマネジメントである。管理には、人間の集合体である組織の管理と、技術システムや社会システム等のシステムの管理を含む。...

3 慶應SDM用語辞典「デザイン」

次に「デザイン」について述べよう。慶應SDMでいうデザインとは、新たに何らかのシステムを創造し、そのアーキテクチャを明確化し、その全体から部分までを適切に作り上げるという営み全体を指す。対象とするシステムは、技術システムから社会システムまで様々である。意匠デザインも、ハードウエアの設計も、ソフトウエアの設計も、サービスの設計も含む。ここでいうサービスは広い意味である。政策の提言も、コンフリクトの和解...

3 慶應SDM用語辞典「システム」

今日から第3章。言葉の定義に入ります。先ずはシステム。「システム」まず、慶應SDMにおける、「システム」の広義の定義について述べよう。システムとは、複数の要素が相互作用するとき、その全体のことである。そして、システムは創発する。創発とは、要素の振舞を見ていても生じない振舞が、要素の相互作用するシステムにおいては見られるということである。たとえば、弓矢はシステムである。弓と矢という複数の要素から成り、両...

3 慶應SDM用語辞典

SDM学の本。第3章は、用語の定義を書きながら、SDMのフィロソフィーと具体的内容を伝えたいと思う。辞書のように見ていただいてもいいし、読み物として順に読んでいただいてもいい。まずは、どの用語を説明すべきか、書きだしてみた。いまのところ、かなり前野流になっているので、SDMの皆さん、足りないものがあったら、教えてください!3 慶應SDM用語辞典<SDM全般>システム/デザイン/マネジメント/システムデザイン・マネ...

2 いま、大学の何が問題なのか?(その2)

 昨日、「いま、大学の何が問題なのか」というブログを書き、フェースブックでも紹介したら、いいねやシェアが相次ぎ、ブログの読者数が一瞬のうちに数百人に。おとといの内田さんの話に出ていたYouTube視聴者数百万人には遠く及びませんが、インターネットの拡散の早さに驚きました。賛同の声も多かったのですが、「こんな批判的な発言をして、立場は大丈夫ですか?」というような誤解も。読者が増えると賛同者も批判者も誤解も...

2 いま、大学の何が問題なのか?(その1)

2章を書きます! ちょっと過激ですが。なお、以下は私自身の個人的な意見であり、いかなる組織の考えを代表するものでもないことを(つまり慶應SDM研究科委員長としての意見ではなく、一個人としての意見であることを)あらかじめお断りしておきます。2 いま、大学の何が問題なのか?大学の22の問題点 第1章では、SDM学が解決すべき社会の問題について述べた。第2章では、慶應SDMが置かれている大学教育界における立場...

1 いま、社会の何が問題なのか?(その3)(1月11日の続き)

「システム」「デザイン」「マネジメント」の視点から俯瞰的問題解決を どうすれば、周回遅れの危機を乗り超え、国際競争力を回復できるのだろうか。 答えはシンプルである。(1) ネットワーク型の社会構造を活かし、様々な学問と多様なステークホルダが力を合わせ、ものごとの関係性を多様な視点から俯瞰的に捉え、混沌を整理し、相互理解すること(システムとしての理解)(2) 理念・ビジョンのレベルから要素のレベルまで...

1 いま、社会の何が問題なのか?(その2)(1月5日の続き)

本の原稿をブログで書く、と決めたものの、やはり日々の仕事に終われ、なかなか進まないですね。今日は、1 いま、社会の何が問題なのか?(1月5日)の続きを。ボトムアップとトップダウンの綱引きが続く 世界中の人々が、ボトムアップに様々な行動を起こし、様々につながりあえる様を強調してきた。これは間違いなく大きなうねりである。では、それだけでことは足りるのだろうか。 この大きなうねりと、対抗するもう一つの大き...

1 いま、社会の何が問題なのか?

ではさっそく、1章から書き始めます。1 いま、社会の何が問題なのか?現代は大転換時代である 少子高齢化、国際競争力の低下、縦割り組織の弊害、政治の混乱、外交問題、震災などの災害対策の問題、格差拡大や福祉の問題など、日本国内には様々な問題があふれている。日本は閉塞感の時代を迎えていると言われる。では、なぜ、このような問題が生じたのだろうか。様々な要因が考えられるが、ミクロな要因はひとまず置いておいて...

SDM学の本の目次

某出版社からSDM学の本を書くことになっているが、筆がほとんど進んでいない。冬休みにひとりでブレスト(ブレーンストーミング)していて、ブログに書きためていくという一石二鳥の方法を思い立った!? (ちなみに、写真は、A3サイズの紙の上で、細い付箋を使って”一人ブレスト”したもの。このサイズだといつでもどこでも一人ブレストできます。お勧め!)まずはブレストで目次を書いてみた。みなさん、ご意見があったらお知ら...

Appendix

プロフィール

Takashi Maeno

Author:Takashi Maeno
慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科(慶應SDM)ヒューマンシステムデザイン研究室教授
慶應義塾大学ウェルビーイングリサーチセンター長兼務
前野隆司

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