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「幸せ」を学んだ若者がつくる社会の姿とは

「幸せ」を学んだ若者がつくる社会の姿とは
武蔵野大学ウェルビーイング学部開設に臨む、前野教授に聞く

上記の記事が「未来コトハジメ」に出ています。ご覧ください。

「ウェルビーイング」の考え方が、日本の産業界で支持されつつある。日本におけるウェルビーイング研究の第一人者として知られる前野隆司氏が、武蔵野大学ウェルビーイング学部(2024年4月開設予定)の学部長に就任する予定だ。ウェルビーイングの名を冠し、ウェルビーイングを専門的に教育する学部組織は世界初という。前野氏は「社会の各所でウェルビーイング社会の創造を実践できる人材を輩出していく」と意気込む。ウェルビーイング学部の狙いと、ウェルビーイングを知る若者が切り開くであろう産業界と社会のビジョンはどんなものか。前野氏に聞いた。

「ウェルビーイング学部」は、2024年4月に開設予定の、武蔵野大学の新学部である※。近年産業界などでも注目を集めている「ウェルビーイング」を、学際的なアプローチに基づき学生に教育する。学部長に就任(予定)するのは、「幸福学」研究で日本の第一人者である前野隆司氏(慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科教授)。ウェルビーイングの名を冠し、ウェルビーイングを専門的に教育する学部組織は世界初だという。

※ 2023年5月現在、設置構想中。設置計画は予定であり変更する可能性がある。

 近年ウェルビーイングは、あるべき組織・地域・社会の姿を象徴するキーワードとして取り上げられることが増えている。日本政府も「経済財政運営と改革の基本方針2022(骨太方針2022)」において「各政策分野におけるKPI(重要業績評価指標)へのWell-being指標の導入を進める」と明記し、話題を呼んだ。

武蔵野大学は1924年に創設された。ちょうど100年周年に当たる2024年にウェルビーイング学部がスタートすることになる。同大学は仏教精神に基づいた人格形成を教育理念に据えている。同大学の学長である西本照真氏(仏教学者・哲学者)は4月12日に行われた記者会見においてウェルビーイングと仏教哲学の関係、そしてウェルビーイング学部の位置づけや社会における役割を次のように説明した。

「仏教精神とはすなわち、生きとし生けるものすべての幸せを願うこと。世界に幸せを実装するための一手段と位置づけられるウェルビーイングは、まさに仏教精神そのもの。武蔵野大学から日本そして世界に、ウェルビーイングのムーブメントを起こしていきたい」(西本氏)

ウェルビーイングを大学の学部で教える意義は。武蔵野大学ウェルビーイング学部ではどんな学生を社会に輩出しようとしているのか。それにより期待できる産業界および日本社会の変化は。前野氏に聞いた。

(以下、WEB記事本文をご覧ください。)

世界平和のための一つの方法 専制国家の指導者の方へ

専制国家の指導者の方へ、という文章を書いてみました(DeepLで英語と中国語にも訳してみました)。どこか特定の国を対象とした論考ではありませんが、例として中国を挙げています。理想論だといわれるかもしれませんが、理想を論じないと理想的な社会はやってこないと思うので、書いてみました。



専制国家の指導者の方へ

現代社会において、自由主義国家と専制主義国家の争いが徐々に明確な時代の中心軸のひとつになってきました。専制主義国家の指導者の方々にとっては、過去の長い歴史の中での屈辱を跳ね返したい思いがあることはわかります。しかし、ここでは、自由主義国家と専制主義国家と、どちらがより発展するかについて考えてみましょう。なお、ここまで、中国や北朝鮮のような共産主義国家を自認している国家も、専制主義国家に分類しています。この後は、自由主義国家と、いわゆる共産主義政治体制を標榜する専制主義国家との比較を試みます。

過去における西ドイツと東ドイツ、韓国と北朝鮮の経済発展状況を比較してみただけで明らかですが、自由主義国家は半世紀以上に渡り計画経済に基づく共産主義国家よりも経済的に成功してきたことは明らかというべきでしょう。もちろん、自由主義は完璧ではありません。格差の拡大や環境問題などの多くの課題の責任の主要な部分を自由主義国家が負っているというべきかもしれません。しかし、これらの問題が起こったこと自体、経済的成功の負の側面であること、すなわち、先ほど述べたように自由主義が専制政治や共産主義と比較して最も経済的な発展を享受できる社会システムであるからこそ生じた問題であることは明らかです。もちろん、今後、自由主義の負の側面ともいうべき格差や環境の問題は、人類が力を合わせて解決すべき課題であるというべきでしょう。

一方で、専制主義国家・共産主義国家の指導者の方に強くお勧めする合理的な手段があります。民主化です。

たとえば、想像してみてください。もしも中国が共産党一党独裁をやめ、政治的にも経済的にも民主化したら、と。一人当たりのGDPは先進国のそれに近づいていくでしょう。現時点では中国全体のGDPが将来アメリカを抜くのか抜かないのかという議論がされていますが、もしも中国が民主主義国家になったら、アメリカの4倍以上の人口を持つ中国のGDPは将来アメリカの4倍になってもおかしくありません。つまり、民主化をすると、ざっと概算しただけでも今の4倍の経済的成功を享受できるのではないかと私は考えます。

中国が民主化すれば、当然、台湾侵攻や一帯一路政策ではなく、周辺諸国との共存・共栄路線に転換するはずですから、互いの軍事的脅威は極めて小さくなるでしょう。世界の諸国との共存・共栄の結果、中国の経済は上述のように4倍に発展し、中国は圧倒的に力のある経済を享受できるはずです。これは数千年の歴史を振り返り、中国が再びそうなりたいと望んでいた姿ではないでしょうか。もちろん、周辺国家もアメリカも他国も、再グローバル化によって大きな経済的発展を享受できるでしょう。

つまり、共産主義と一帯一路政策を維持してアメリカや周辺諸国との対立を続け、ブロック経済化と軍事費増強への道を歩むのと、民主化して全世界と共存・共栄し世界随一の経済大国となるのと、中国にとっても他の国にとってもどちらが得かは明らかです。

他の専制主義国家、共産主義国家についても同じことが言えます。民主化して、他の民主国家と一緒に発展することこそが、めざすべきことではないでしょうか?

以上、自明だと思うので書きました。残念ながら、こんなに自明であるにもかかわらず、これまで戦争という手段によってしか、過去の日本も含め多くの国が専制主義国家を脱せなかったという歴史があります。よって、この私の主張は理想主義や夢物語というべきなのかもしれません。しかし、理想や夢であったとしても、私は言いたい。専制主義国家や共産主義国家の指導者の皆さん、民主化しましょう。自由主義経済を選択し、その上で、グローバルイシューを考え、ともにより良い世界を目指しませんか。皆さんが賢明であることを心から信じています。

なお、この話は、軍隊型組織(アンバー組織)、機械論的組織(オレンジ組織)とグリーン組織(家族主義的組織)、ティール組織(生命エコシステム型組織)のどちらがウェルビーイングかという問いと相似系ですね。すべての生きとし生けるものが幸せでありますように。



To the Leaders of Despotic States

In contemporary society, the struggle between liberal and despotic states has gradually become one of the central axes of a clear era. We understand that for the leaders of despotic states, there is a desire to rebound from the humiliations of the long history of the past. However, let us now consider which is more developed, a liberal state or a despotic state. Note that up to this point, we have also classified states that self-identify as communist states, such as China and North Korea, as despotic states. In what follows, we will attempt to compare liberal states with despotic states that advocate so-called communist political regimes.

It should be clear that liberal states have been more economically successful than communist states based on planned economies for more than half a century, as is evident just by comparing the economic development of West and East Germany or South and North Korea in the past. Of course, liberalism is not perfect. Perhaps it should be said that liberal states are responsible for many of the challenges we face, such as growing inequality and environmental problems. However, it is clear that the occurrence of these problems is itself a negative aspect of economic success, i.e., they arose because, as mentioned earlier, liberalism is the social system that enjoys the most economic development compared to tyranny and communism. Of course, in the future, the problems of inequality and the environment, which can be called the negative aspects of liberalism, should be issues that humankind should work together to solve.

On the other hand, there is a rational means that I strongly recommend to the leaders of despotic and communist nations. Democratization.

Imagine, for example. Imagine if China stopped being a one-party communist dictatorship and democratized politically and economically. GDP per capita would approach that of developed countries. At the moment there is a debate about whether China's overall GDP will overtake the U.S. in the future or not, but if China becomes a democratic country, with a population more than four times that of the U.S., its GDP could be four times that of the U.S. in the future. In other words, I believe that if it becomes a democracy, it will enjoy four times the economic success that it enjoys today, even by rough estimation.

If China democratizes, it will naturally shift to a policy of coexistence and co-prosperity with neighboring countries, rather than invading Taiwan or pursuing the "One Belt, One Road" policy, and the military threat to each other will be extremely small. As a result of coexistence and co-prosperity with the nations of the world, China's economy should develop fourfold as described above, and China should enjoy an overwhelmingly powerful economy. This is the way China would have wanted to be again, looking back over thousands of years of history. Of course, neighboring nations, the U.S., and other countries will also enjoy great economic development through re-globalization.

In other words, it is clear which is better for China and other countries: to maintain communism and the "One Belt, One Road" policy and continue to be at odds with the U.S. and neighboring countries, and to continue on the road to a bloc economy and increased military spending, or to become a democratic country and coexist and prosper with the rest of the world and become the world's leading economic power.

The same can be said for other despotic and communist countries. Shouldn't the goal be to democratize and develop together with other democracies?

I wrote the above because I think it is self-evident. Unfortunately, despite the fact that it is so self-evident, many countries, including Japan in the past, have been able to escape from despotism only by means of war. Therefore, my argument may be idealism or a dream. However, even if it is an ideal or a dream, I would still like to say this. To the leaders of despotic and communist nations, let us democratize. Let us choose a liberal economy, and on that basis, let us consider global issues and work together for a better world. I sincerely believe that you are wise.

This story is analogous to the question of whether a military-type organization (amber organization) or a mechanistic organization (orange organization) or a green organization (family-oriented organization) or a teal organization (life ecosystem-type organization) is better for wellbeing. May all living beings be happy.

Translated with DeepL



对于专制国家的领导人

在当代社会,自由主义国家和专制主义国家之间的斗争已经逐渐成为一个清晰的时代的中心轴之一。 对于专制国家的领导人来说,我们理解他们想从过去漫长的历史中的屈辱中反弹出来。 然而,现在让我们考虑一下,自由主义国家和专制国家哪个更发达。 请注意,到此为止,我们还把那些自认为是共产主义国家的国家,如中国和朝鲜,归为专制国家。 在下文中,我们将试图将自由主义国家与主张所谓共产主义政治制度的专制国家进行比较。

应该清楚的是,半个多世纪以来,自由主义国家在经济上比以计划经济为基础的共产主义国家更加成功,仅通过比较西德和东德以及南朝鲜和北朝鲜过去的经济发展就可以看出。 当然,自由主义并不完美。 也许应该说,自由主义国家对许多挑战负有责任,如不平等的扩大和环境问题。 然而,很明显,这些问题的发生本身就是经济成功的一个负面因素,也就是说,出现这些问题是因为,如前所述,与暴政和共产主义相比,自由主义是享受经济发展最多的社会制度。 当然,应该说,不平等和环境问题,可以说是自由主义的消极方面,是人类在未来必须共同解决的问题。

另一方面,有一种理性的手段,我强烈建议专制国家和共产主义国家的领导人。 民主化。

举例来说,想象一下。 如果中国不再是共产主义的一党专制国家,在政治和经济上实现民主化。 人均GDP将接近发达国家的水平。 目前,争论的焦点是中国的整体GDP在未来是否会超过美国,但如果中国成为一个民主国家,人口是美国的四倍以上,其GDP在未来可能是美国的四倍。 换句话说,我相信,如果它民主化,它将享有四倍于今天的经济成就,即使只是大致上的近似。

如果中国民主化,它自然会转而采取与邻国共存共荣的政策,而不是入侵台湾或推行 "一带一路 "政策,所以彼此的军事威胁会非常小。 作为与世界各国共存共荣的结果,中国的经济应该像上述那样发展四倍,中国应该享有压倒性的强大经济。 回顾几千年的历史,这又是中国所希望的样子。 当然,邻国、美国和其他国家也将因再全球化而享有显著的经济发展。

换句话说,对中国和其他国家来说,哪一个更好是显而易见的:维持共产主义和 "一带一路 "政策,继续与美国和邻国对抗,继续走集团经济和增加军费的道路,还是民主化,成为世界上领先的经济大国,与整个世界共存共荣。

对其他专制和共产主义国家也可以这样说。 我们的目标难道不应该是民主化并与其他民主国家共同发展吗?

我写下上述内容是因为我认为这是不言自明的。 不幸的是,尽管它是如此不言而喻,但许多国家,包括过去的日本,都只能通过战争的手段来摆脱专制主义。 因此,我的论点可能被描述为理想主义或梦想。 然而,即使是理想或梦想,我仍然想说。 亲爱的专制国家和共产主义国家的领导人,让我们实现民主化。 让我们选择自由经济,在此基础上,让我们考虑全球问题,共同为一个更美好的世界而努力。 我真诚地相信,你们是明智的。

这个故事类似于军事型组织(琥珀色组织)或机械型组织(橙色组织)或绿色组织(家庭型组织)或茶色组织(生命生态系统型组织)是否更有利于安康的问题。 愿所有生物都能幸福。

Translated with DeepL

武蔵野大学ウェルビーイング学部ウェルビーイング学科

サンデー毎日で連載しています「みんなのウェルビーイング」。

21回目の今回は、2024年4月に武蔵野大学に開設するウェルビーイング学部ウェルビーイング学科についての想いを書きました。ウェルビーイングをどう教育すべきか!? ぜひ読んでみてください!

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ウェルビーイングをどう教育すべきか!?

ウェルビーイング(幸せ、健康、心と体と社会の良い状態)についての連載を重ねてきましたが、ウェルビーイングにあふれた世の中を作るためには何をすればいいでしょうか? 大人がウェルビーイングについて学ぶこと、一人ひとりがやりがいとつながりを育むこと、制度疲労に陥った組織を改編すること、政府や省庁がウェルビーイングに取り組みこと……。いろいろありそうですが、教育者として大事だと思うのは、ウェルビーイング教育を行うこと。

そんな想いを実現する場として、武蔵野大学に2024年4月にウェルビーイング学部ウェルビーイング学科を作ることになりました。私は慶應義塾大学教授と兼務の形でウェルビーイング学部長に就任する予定です。

ここで行いたい教育は以下の通りです。まず、心理学を基盤とするウェルビーイングの基礎を徹底的に学びます。何が幸せに寄与するのか。そしてどうすれば幸福度を向上させられるのか。武蔵野大学は仏教系の大学ですので、仏教などの日本思想・東洋思想がどのようにウェルビーイングに寄与するのかも徹底的に学びます。一言で言えば「すべての生きとし生けるものが幸せでありますように」という仏教の慈悲の心などについて学びます。それから、AIの進展した時代にあって、人間にとって重要な学びは、知識を詰め込むことではなく、感性豊かに、創造性を発揮して、人間らしく個性豊かに生きること。ですから、たっぷりと、自然環境体験、地域体験、企業体験、国際体験を行います。世界がキャンパス、日本中がキャンパス、森や畑がキャンパスです。そして、豊かなアイデアで新しい世界を創造していくための教育。社会をウェルビーイングな世界に変えていくウェルビーイング・イノベーションの基礎と実践を学びます。

つまり、自分自身が幸せでやる気にあふれているのみならず、人々を幸せにする製品・サービスをデザインしたり、町やコミュニティーや職場をデザインしたり、新たな教育をデザインする、ウェルビーイング・デザイナーを輩出します。もちろんここでいうデザインとは、意匠デザインという意味ではなく、あらゆる物事を創造的に作り上げるということです。

よく、就職先はどこですか、と聞かれますが、新しい仕事です。AIが人間の仕事の多くを奪う代わりに、新しい仕事が生まれると言われています。もちろん既存の企業の企画部門、戦略部門、ウェルビーイング担当部門に就職する者もいるでしょうが、最も願っているのは、経済成長に偏りすぎて多くのグローバル・イシューを生み出してしまった世界を、ウェルビーイングにあふれた世界に刷新する仕事を創造する人です。明治維新を先導した坂本龍馬の言葉を借りれば、「日本を今一度、洗濯いたし申し候」です。令和維新の先導者の育成です。明るい未来を力強く歩む、活力溢れる人間の教育です。楽しみです。

2004年発売の『脳はなぜ「心」を作ったのか』に載らなかった原稿

2004年に発売された『脳はなぜ「心」を作ったのか』のために書いた原稿の一部が、実は、編集者の方から「SFチック過ぎる」と言われて没になりました。

あれから19年。確かに「50年で寿命が2倍に」は言い過ぎだったようにも思えますが。。。幸福学の研究を始めた2008年よりも前に書いた原稿ですが、愛について述べている部分など、幸福学に相通じる部分もあります。ご興味のある方はぜひ読んでみてください。

5・6 永遠の命は可能か?

あと50年で平均寿命は倍になる

永遠の命は可能か。この問いは、ふつう、宗教的な、霊的な問いかけかもしれない。二元論者が好む疑問かもしれない。二元論者は、死後も霊魂は存続すると考える。しかし、心が脳の産物であると考えられる以上、死後の世界があるのではないか、という考えは、残念ながら期待薄だ。
ただし、科学は宗教を否定する力を持たない。地動説が地球中心の世界観を否定しても宗教はなくならなかったように、また、ニーチェが「神は死んだ」と言ってもそれが全人類に受け入れられたわけではないように、死後の世界が否定されても宗教は存在し続けるのかもしれない。科学と宗教は、目的や対象が違うのだから。
ただ、二元論には無理がある。『血液が血管の中を流れるのは、ポンプである心臓のおかげではなく、何か他の霊的な力が働いているはずだ』と考えるのは勝手だが、そんな考え方が一般に受け入れられないのはご想像通りだ。脳と心の話も同じだ。『心が存在するのは脳のおかげではなく、何か他の霊的な力が働いているはずだ』と考えるのは勝手だが、心臓はポンプではないというのと同じように、そんな考え方は百パーセント近い人が認めない時代が、もうすぐ、(いや、いつの日か、)来るだろう。
というわけで、私は宗教を敵にまわすつもりはないが、しかし、霊や死後の世界は絶対に存在しないと思っている。たぶんそう思っている人は、そうかもしれないが認めたくないと思っている人も含めると、少なくないのではないかと思う。
永遠の命は可能か。ここでは、人間の命を永久に、あるいは半永久的に、持続させることは可能か、という意味で、このことを考えてみたい。
楽観的に考えて、あと五十年くらい経つと、人の平均寿命は今の二倍くらいになるのではないかと思う。もちろん、テクノロジーの進展によって。
そんな無茶な、と思う人もいるかもしれないが、根拠を以下に述べよう。
自動車が故障したとき、故障した部品を修理するのと、その部品を新品と取り替えるのと、どちらが信頼できるだろうか?当然、交換だ。さびて穴が開いたガソリンタンクの穴をふさいでもまたその隣に穴が開く。磨耗してしまったブレーキパッドを修理することは難しい。それよりも、ガソリンタンクやブレーキパッドを新品に取り替えるほうが、はるかに自動車の製品寿命を高める。極端なことをいえば、すべての部品を新品に交換し続ければ、その製品は永遠に使える。
だから、人が作り出した製品が故障したときには、部品を交換してきた。電気製品を修理に出すと、いろいろな部品が交換されるので、本当にこんなに交換しなければならなかったのか、と疑いたくなるほどだ。
ところが、これまでの医療は、人の部品の交換ではなく、修理で対応してきた。それは、実は、交換部品がなかったからだ。胃に穴が開くとふさぐしかなかったし、関節が磨耗したら痛み止めを打ちながらだましだまし使うしかなかった。

修理技術から交換技術へ

これに対し、最近は、人工の生体代替材料の開発が盛んだ。さらに画期的なのは、ティシューエンジニアリングやバイオテクノロジーの進歩だ。
ティシューエンジニアリングによって、人のからだの交換部品が作れるようになってきた。また、バイオテクノロジーの進歩によって、自分の内臓や組織を培養できるようになり始めている。これはすごい変革だ。人のからだの治療が、部品の修理から、部品の交換という全く新しいやり方に変わりつつあるのだ。
CCDカメラを大脳皮質の視覚野につないで、目の代替をさせよう、というような研究が始まっている。かなり情報量の小さい画像ではあるけれども、目の見えない人に、明るい・暗いといったパターン画像を見せることに成功している。また、筋肉に筋電計をつないで、手足にはめた電動義手や電動義足を動かせるようにしよう、という研究も始まっている。こちらもまだかなりラフな動きしかできないけれど、手足の動かない人や失われた人が、自分の力で食べ物を口に運んだり、歩行をしたり、できるようになり始めている。
このように、これまで修理技術の進歩によって伸びてきた人の寿命は、これから、交換という革新技術によって、画期的に伸びる。人のサイボーグ化といってもいい。これは楽観的な予想ではない。パラダイムシフトの必然だ。
バイオテクノロジーの発展に大きな役割を果たすもう一つの科学技術は、コンピュータ技術だ。
インテルの設立者が一九六五年に見つけたムーアの法則という経験則によれば、半導体技術(正確には、ICチップ上に集積されたトランジスタや抵抗などの素子数)は、一・五年で二倍になる。ざっと十年で百倍、三十年で百万倍、五十年でなんと百億倍だ。この果実は、これまでは工業製品の高度化やオフィス・工場の合理化として結実してきた。今後は、この技術が、遺伝子の解析や脳神経回路の解析にも大きく生かされるだろう。
遺伝子の解析は、ティシューエンジニアリングやバイオテクノロジーの発展につながる。つまり、どうすれば個別の内臓や組織を培養できるかが解析され実践されるだろう。もちろん、病理の原因や対処法の解析も進む。つまり、遺伝子解析技術は、からだの交換技術の進展に大きく貢献することになる。

脳も交換

また、脳神経回路の解析技術は、脳の交換可能性を大幅に高めるだろう。からだと同様、脳も交換可能になれば、人の寿命の延びはさらに加速するだろう。
脳神経はあまりにも複雑なので、部分的にせよ交換は難しいのではないか、という気もするが、楽観的になれる技術も出てき始めている。
人の神経回路網がもつ柔軟な適応能力だ。人の神経回路網は、そもそも群れで情報処理をしている。一つの神経細胞が何らかの意味を表すわけではなく、いくつもの神経細胞群の発火パターンが何らかの意味を表す。そして、訓練すれば、ある場所の神経回路網が他の場所と同じ処理をこなす、というようなことも難しくない。
たとえば、脳梗塞を経験した人がリハビリをすると、失われた運動能力や言語能力が再現する。これは、脳梗塞により失われた脳神経回路とは別の脳神経回路が、同じ機能を代替することによる。また、強引な研究だが、大脳の視覚野に耳を、聴覚野に目をつないでやると、なんと、視覚野が聴覚情報処理を、聴覚野が視覚情報処理を行なえるようになるという。
だから、実は、ある程度ラフに人の脳神経回路網と人工の神経回路網をつないでやれば、しばらくのリハビリの後に、人の脳神経回路網のほうがその接続に適応するというマジックが期待できる。脳神経回路網一本一本の役割がすべて解明されていなくても、どこに何をつなげばどんなことができるのか、ということが明らかになっていくのだ。そんなわけで、多くの脳神経学者やロボット工学者が予想するよりもかなり早い時期に、人のサイボーグ化が進展していくだろう。
サイボーグ化できないのは〈私〉だ。なにしろ、〈私〉は自己意識のクオリアだから、これを入れ替えることができたとすると、前野隆司がいなくなり、前野隆司二号になってしまう。
幸い、〈私〉は無個性なクオリアに過ぎないから、〈私〉を作り出すニューラルネットワークは、大脳全体に比べればはるかに小さい。だから、もしも〈私〉がどこにあって、他の箇所とどんなふうにつながっているかが解明されれば、それ以外のからだと脳のすべてをサイボーグ化することによって、人は生きながらえることができるようになるだろう。〈私〉以外の部分の調子が悪くなったら、人工物に交換すればいい。身体と心の機能が、義手、義足、義眼、義「知情意」、義「私」といった人工物に代替され、究極的には、〈私〉以外のすべてを置き換えることができるようになるだろう。
あと五十年で人の平均寿命が今の二倍になる、という私の予想は、今述べたような理由により、はったりではない。楽観的であることは認めるが、実現不可能な夢物語ではないと思っている。二十世紀はコンピュータがどんどん進歩した時代だったのに対し、二十一世紀は人の寿命がどんどん延びる時代になる。
科学技術の進歩はとどまるところを知らない。楽観的な予想をさらに延長すれば、以下のようになる。
人の寿命をいま二百歳くらいにできるならば、そして、科学技術がさらに順調に進展するならば、今から百年から二百年の後には寿命を三百歳にするくらいの技術が見つかることだろう。だから、人は三百年生きられることになる。次の百年のうちには寿命を四百歳にするくらいの技術が見つかるだろうから、四百年生きられる。四百年生きていれば……。残念ながら私たちの世代には間に合わないが、私たちの子供の世代では画期的な長寿が実現できるのかもしれない。

もうひとつの永遠の命

私が永遠の生命は可能だと考えるもうひとつの筋道についても述べよう。実はこちらが本題だ。
それは、仏教の悟りの境地に似ている。修行は不要だが。あるいは、ガイア仮説とも似ている。
先ほども述べたように、〈私〉というのは無個性な小さな存在であり、あなたが持っている大切な〈私〉も、隣の人が持っている〈私〉も、基本的に何も違わない。〈私〉は、高度な生命体さえあれば、どこにでも簡単に生じるものだということができる。何千年も前の人が持っていた〈私〉も、何億光年のかなたに住む宇宙人の〈私〉も、あなたの〈私〉もわたしの〈私〉も、そしてたぶん魚の〈私〉も、みんな本質的に同じものなのだ。なんて普遍的で超時空間的であることか。
そんな〈私〉を集合体として見たとき、これが永遠でなくてなんだろう。〈私〉のネットワークは、時間を超え、空間を超え、無限にちりばめられていて、永遠に続いていく。そう考えると、永遠の命は可能だ。あなたの知情意と記憶の命は有限だが、あなたの〈私〉の命は、輪廻のように、永遠に、確実に、受け継がれていくのだ。
眠る直前とか酔っ払ったときのなんともうつろな気持ちのいい状態は、永遠の命を垣間見ている幸福なのかもしれない。
眠くて気持ちがいいとき、あるいは酔っ払って気持ちがいいときとは、自分という現象が外側からあいまいになっていき、身体、「知情意」、「私」の中の〈私〉以外の部分が次第に取り除かれていった状態だ。つまり、〈私〉だけに近づく体験。これは、前に述べた宗教家の断食体験とも似ている。自分から余計なものを取り除くと、世界とつながった〈私〉だけになる。だから至福の気分になれるのかもしれない。
そして人は眠りにつく。眠りとは、意識のない状態。つまり、自分が次第に薄れていって、ついには〈私〉さえも取り除かれた状態だ。これは〈私〉にとっては死と同じだ。朝になると再び〈私〉が現れる、という点が死と違うに過ぎない。
つまり、眠りにつくときの気持ちとは、自分からすべてを取り除き、最後には〈私〉をも取り除くことによって、時間を超え、空間を超え、無限にちりばめられた〈私〉のネットワークの境地を垣間見る、仮想の死なのではないかと思う。

5・7 愛・真・善・美とは何か?

私たちはなぜ人を愛するのか?

ささやかな〈私〉は時空を超えて宇宙に広がるネットワーク。そう考えると、私たちの自己意識である〈私〉は、なんだかほっとした気分のクオリアを実感する。〈私〉はひとりぼっちじゃない!しかし、同じような〈私〉が世界にたくさん散らばっていたとしても、それらがただ離れて孤独に存在しているだけだったとしたら、あんまり嬉しくない。というより、むしろ、寂しい。〈私〉たちは、孤立しているのだろうか。それとも、つながっているのだろうか?つながっているのであって欲しいが、もしそうなら、どのようにつながっているのだろう?
「心」を辞書で調べてみると、「心をこめる」「心を尽くす」「心ある」「心から感謝する」「心遣い」「心尽くし」「心強い」「心憎い」「心変わり」「心残り」など、情緒あふれる表現が並んでいて、人と人との暖かいふれあいを感じる。そう言われてみればそうだ。この本では、これまで、「心」は「知」「情」「意」「記憶と学習」「意識」から成る、などとかたいことをいってきたが、考えてみれば、心とは、もっと暖かいものだった。心と心はそもそもふれあっていたのだ。心のふれあいという、人間にとって最も根源的で大切なことと、〈私〉や「私」はどう関わっているのだろうか。
このことを考えるための鍵は、「愛」だ。
「愛」は一般に科学技術の研究対象ではないことになっているが、少し考えてみよう。
「愛」は少なくとも無機質な物理世界には存在しない。心が生み出したものだ。「嬉しい」「悲しい」といった一人称的な「情」と深く関わっているが、他人や外界との積極的な関わりあいである「意」にも関係している。単に「知情意」の一部なのではなく、心が作り出した「私」の大切な機能だと考えられる。
私たちは人を愛する。異性を愛し、子供を愛し、人類を愛し、大自然を愛す。もちろん、自分も愛する。なんのためにそんなことをするのだろうか?愛とは何なのだろうか?
ドーキンス(「利己的な遺伝子」ドーキンス(科学選書))は、人間の営みはすべて利己的な遺伝子の仕業だと考えた。つまり、人は遺伝子の乗り物に過ぎず、人のあらゆる営みは、自分たちの子孫を存続しようとたくらむ遺伝子に操られた結果に過ぎないというのだ。単純化していえば、人が生きるのは子孫繁栄のため、子孫繁栄は種の保存、すなわち、遺伝子の持続のため、ということになる。当然、愛、というクオリアも、遺伝子が作り出した概念、ということになるのだろう。
フロイトは、あらゆる心理状態は、無意識下のリビドー(性衝動)に帰着できると考えた。つまり、人のあらゆる行動は、根源的には性欲に支配されているというのだ。種を保存し遺伝子を生き延びさせるために必要なのは子孫繁栄だから、確かにすべてを性に帰着できるような気もする。
「愛」も、異性を思う愛情と、子供を思う愛情の二つに帰着させることを考えてみれば、なんとなく納得がいく。あらゆる愛情はこのふたつで表現できるような気がする。大自然や神を愛する気持ちは、母に抱かれた感じ(親の愛への依存)に相通ずるものがあるし、大学の学生が巣立っていくときの喜びは子供の成長の喜びに相通ずるものがある。そして、異性も子どもも子孫繁栄に関連する。そう考えると、愛とは本来、子孫繁栄のためなのものなのか、という気がしてくる。

愛とは〈私〉のネットワークの再確認

しかし、子孫繁栄と遺伝子の存続にすべてを帰着させようという、今はやりの議論には、私はなにか胡散臭さを感じる。なんだか、うそっぽい。
私は、未来の子孫とか遺伝子とかには関係なく、リビドーにも関係なく、いま、ここにある自然や宇宙、ここにいる妻や子供たちを、もっと純粋に、素朴に、真摯に、愛しているんだよ、という気がする。「私」の中に存在している愛というクオリアは、もっと本質的に「私」の性質の一部であるような気がする。
私は、そんな直感は正しいと思う。つまり、ドーキンスやフロイトの主張とは違って、愛とは素朴に、〈私〉のネットワークの確認手段として心の中に生じた概念なのではないか、と思う。
つまり、こうだ。
異性や、親や、子など、あなたにとってかけがえのない人とのコミュニケーションは、あなたにとって最も大切な営みのひとつであるに違いない。これはなにかというと、大切な人とのコミュニケーションの結果、大切な人とのインタラクションの内部モデルをあなたの脳内に構築するということだ。
コミュニケーションしている相手の人はこう考えているに違いない、と類推するための内部モデルが脳内にあることを、『人間は「心の理論」を持つ』という。「心の理論」という他人の行動や言動の内部モデルを使って、〈私〉や「私」は世界とインタラクションしている。
〈私〉や「私」と世界とのインタラクションが性的である必然性はない。様々な形でのコミュニケーションがとれればいい。それに、遺伝子に頼らなくても永遠だ。なぜなら、同じ〈私〉が世界中に星の数ほどもあるのだから。
インタラクションの結果、私たちが、異性や子どもや他人や外部世界を愛するということは、それらの内部モデルを愛するということに他ならない。これは、他人の中にも〈私〉がいることを発見するとともに、自分の中にある〈私〉と他人の〈私〉が同じであることをかいま見たことの安堵感なのではないだろうか。
生物はまとまりを作り出すシステムだといわれる。原始生物は自己組織化によって形作られたし、神経はよく使われるほどよく発火する。神経はまとまって発火するときに意味や記憶を形成し、協調的な情報処理を行なう。視覚の錯覚は脳がそうであって欲しいと思う方向にゆがめられた結果だし、聴覚や触覚にも同様な錯覚が知られている。人は他人と協調しているときに安堵するし、物事に意味や価値というまとまりを見つけようとする。価値を共有する社会では人々は同じような考えを持つ。作り出されたまとまり自体が生物や生物社会そのものだといってもいい。
〈私〉が世の中にたくさん散らばっているとき、それらはやはり生命の原理に従い、まとまりを作り出すことを目指す。〈私〉のネットワーク作り。そのために作り出された仕掛けのひとつが、愛なのだ。つまり、誰の心の中にもある〈私〉は、皆、ひとりではない、ということを感じるために、自己組織的に、ボトムアップに作り出された概念が、愛なのだ。〈私〉のネットワークを実感し安堵したいという心の叫びによって。
〈私〉たちは、みんな、純粋に、仲間だ。そして、〈私〉たちは愛によってつながっている。〈私〉たちはひとりではない。

真・善・美とは何か?

 話はそれるが、愛のついでに真・善・美についても述べよう。真・善・美も、愛と同じく、物理世界には単独で存在しない。だから、これらも、人間の心が作り出した概念であることは間違いない。
 いや、宇宙の根本原理のように物理現象の真理・真実というのは存在する、という人もおられるだろう。ここでは、そうではなく、数学でいう真偽の真、つまり、正しいか正しくないか、という概念のことを考えてみたい。
それから、善は、良いか、悪いか。
そして、美は、美しいか、醜いか。
これらは哲学の研究対象だということになっているが、私もこれらにとても興味がある。愛と同じく、直感的に、「私」の中にある重要な何かだという気がする。このため、私は、真とは何かを知りたくて科学技術に携わっている。善とは何かを知りたくて、最近は倫理について教えている。美とは何かを知りたくて、趣味で絵を描くし、大学で盆栽や人の歩行の美しさの研究をしたこともある。
しかし、これらは心が作りだしたものだから、何が真か、何が善か、何が美か、という問いには絶対的な正解はない。
正しいと思っていたことが正しくなくなることは、歴史をひもとけばいくらでもある。良いと思っていたことが良くないことになることもある。戦争や紛争を見れば明らかだ。戦う者は、どちらも、自分たちの方が真であり善であると考えている。価値は相対的で、正解がないから、世界中で戦争や紛争が絶えないのだ。
美しさも普遍的ではない。日本では昔はおたふくが美人だったが、今は西洋風の顔が美人ということになっている。つまり、真に美しいものなどない。やはり、価値は相対的だ。
これらは心の中の意味記憶によって、環境という文脈の中で定義されたものだ。真・善・美についての考え方がいくら多様だろうと、これらは心が作り出したものだ。
では、なぜ、心は真・善・美という概念を生み出したのだろうか?
やはり、そうであると都合がいいようなまとまりを、心がボトムアップにみつけ出した結果なのだと考えられる。
愛のところで述べたように、生物はまとまりを生成しようとするシステムだから、形成されたまとまりが、真であり善であり美であるということに過ぎないのだと思う。
視覚の錯覚と似ている。錯覚は、そうであったら都合がいいように見えてしまう現象だ。同じように、それが真であったら自分や社会にとって都合がいい、それが善であったら自分や社会にとって都合がいい、それが美であったら自分や社会にとって都合がいい、という原理によって、小びとたちの多数決で形成された概念が真・善・美なのだ。
人間の意識である「私」は受動的なのに、あたかも主体的な存在であるかのように錯覚しているのだった。同じように、人間の価値規範である真・善・美は相対的なのに、あたかも絶対的なものであるかのように錯覚している。錯覚とは言わないまでも、それぞれの人ごとあるいは社会ごとに価値基準を決めて、それにしたがっている。
主体的であると錯覚している「私」たちが、真・善・美は絶対的なものであるかのように錯覚する、というのは結果的にまとまりを自己組織化する生物の原理から考えて、もっともな気がする。トップダウンに自分を支配する「私」がいるのではないのと同じように、トップダウンにこれが真、これが善、これが美、と与えられているのではない。小びとたちの多数決によって、ボトムアップに自分なりの真・善・美を決めていくのだ。人の社会といっしょだ。
家族、学校、地域、会社、政党、学会、宗教、国家など、人は様々な大きさの社会を持ち、その社会の中での真・善・美の規範をきめている。あなたの小びとたちはこれと同じことをやっている。生物の原理は個体レベルでも群レベルでも同じようなものだから、心の社会は実社会の縮図であり、人間たちがやることと、小びとたちがやることは大差ないということだ。
そして、その作用は愛と似ている。人と人とのつながり、結局は、〈私〉と〈私〉とのつながりを再確認して安堵したいがために作り出された概念なのだ。

バッソらの実験(幸せで楽観的な人は視野が広い)

拙著『思考脳力のつくり方 仕事と人生を革新する四つの思考法』(角川oneテーマ21、2010年)の47〜48ページに載っているバッソらの研究結果。
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システム思考ができる人ほど幸福で楽観的

まず、図1を見ていただきたい。イメージを覚えていただけただろうか。

次に、図2の二つの図を見ていただきたい。よろしいだろうか。

では、図2の(a)と(b)は、どちらが図1に似ていただろうか? 考えを、直感的でいいので、お答えいただきたい。

さて、皆さんの答えは、(a)、(b)のどちらだっただろうか?

以上は、心理学者のバッソらが行なった、視覚についての研究の一部だ。実は、(a)と答えた人は、広い視点を持つ人、(b)と答えた人は細部に焦点を当てがちな人だといえる。システム思考が得意な人と、要素還元思考が得意な人と言い換えてもいいだろう。なぜなら、(a)は四つの図形から成るという全体的な特徴が、(b)は要素の形が同じであるという部分的な特徴が、図1と一致しているからだ。

バッソらは、似たような課題を32個解いてもらって、そのうち広い視点の図をいくつ選んだかをスコアとして記録した。

同時に、あなたは楽天的ですか・悲観的ですか? 幸福感が高いですか・低いですか? という質問も行なった。その結果、広い視点の図を選ぶ人は楽観的で、かつ、幸福感の高い人である、という傾向が得られたのだ。

要するに、システム思考が得意な人は、楽観的で、幸福である可能性が高いということだ。

明けましておめでとうございます!

2023takashiのコピー
母の手作りのウサギです。今年もよろしくお願い致します。

みんチャレのブログを監修しました

このたび、みんチャレの以下のブログを監修したので一挙掲載します。

幸せとはどういう意味?定義とそのメカニズム・幸せでいるための方法

やる気が出ないときの理由7つとやる気を出すために効果的な方法

ポジティブになる方法と5つの習慣をフィジカル・メンタル両面から解説

ネガティブ思考を治すには?誰でもできる簡単で効果ありの改善方法

【要点まとめ】7つの習慣とは?基本の原則をわかりやすく解説

「生きづらい」と感じる4つの理由と少しずつでも楽になる対策・考え方

「自分が嫌いで苦しい」それはなぜ?原因と乗り越える対処法

「何もやる気が起きない」知っておきたい原因と5つの対処法

女性が身につけるべき17の習慣と確実な習慣化に役立つアプリ5選

幸せになりたいなら身につけるべき習慣ベスト10と今すぐやめるNG行動

人生つまらない…その感情の正体と少しでも前向きに過ごす7つの対処法

モーニングルーティンとは?基礎知識やメリット、著名人の実例を紹介

習慣化とは?習慣化を科学的に成功させる方法論と期間・アプリを解説

自己実現とは?心理学における定義と叶えるための5つのポイント

セルフコントロールとは?その意味と訓練する効果的なトレーニング法

マインドフルネスのやり方を簡単マスター!瞑想法6つと効果・注意点

何も楽しくない…どうすればいい?毎日を楽しめないときの対処法

飽き性な自分を嫌いにならないで!続かない対策と長所に変えるワザ

頑張れない自分が嫌いなあなたに確認してほしい10のこと

何もかもうまくいかないと感じる原因とは?マインド・行動別に8つの対処法を解説

自分に自信を持てないときはどうすればいい?自分に自信を持つ方法

本気で人生を変えたい人へ捧げる最強メソッド!変えるべき3つの行動

努力できないのはなぜ?理由と必ず努力できるようになる8つの方法

前向きになる方法は?ネガティブ思考が確実に変わる2つのステップ

「お坊さん、教えて!」〜お坊さんに学ぶ仏教のイロハ〜

2021年慶應SDMヒューマンラボ主催オンライン公開講座シリーズ
前野隆司×安藤礼二「お坊さん、教えて!」〜お坊さんに学ぶ仏教のイロハ〜

動画と記事が上がっていますので、まとめ記事を作ってみました。ぜひご覧ください。
奥深い仏教の基礎について学んでおくことは価値があると思います!

第1回 真言宗
https://www.youtube.com/watch?v=yamm9fIc9rs
https://online.samgha-shinsha.jp/contents/4e7032933f87

第2回 天台宗
https://www.youtube.com/watch?v=rMELFhAI5BQ&t=4997s
https://online.samgha-shinsha.jp/contents/16b223cc2026

第3回 日蓮宗
https://www.youtube.com/watch?v=XTRKUMdcBew&t=6s
https://online.samgha-shinsha.jp/contents/cfb37b0e42ee

第4回 浄土宗
https://www.youtube.com/watch?v=_0_AcCqMxJg&t=22s
https://online.samgha-shinsha.jp/contents/67f7f04d3617

第5回 浄土真宗
https://www.youtube.com/watch?v=dkpOt4Ul0Cg&t=79s
https://online.samgha-shinsha.jp/contents/071a9974d64f

第6回 時宗
https://www.youtube.com/watch?v=zO4WfSJzPww
https://online.samgha-shinsha.jp/contents/c17aae2c1c75

第7回 曹洞宗
https://www.youtube.com/watch?v=YTfjP5vQOxk
https://online.samgha-shinsha.jp/contents/bc2a6c3637da

第8回 臨済宗(記事公開準備中)

新サンガ〔記事一覧〕「お坊さん、教えて!」
(2021年慶應SDMヒューマンラボ主催オンライン公開講座シリーズ)
https://online.samgha-shinsha.jp/contents/0a19f4fff38e


おまけ(仏教ではありませんが)
Zen2.0 内なるエコロジーの探究
https://online.samgha-shinsha.jp/contents/3e4825b4b3db

ウェルビーイング学会のホームページができました!

ウェルビーイング学会のホームページができました!

こちらです!
https://society-of-wellbeing.jp/

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日本から世界に発信すべき思想の核とは!?

日本から世界に発信すべき思想・哲学のコアは神道・仏教なのではないか。
これには異論のない人も少なくないかもしれない。

では、神道の何を、仏教の何を、世界に発信すべきなのか。
今日結構分かった気がするので、VOICYで話しました。
いかがでしょうか?

科学としての神道と仏教。神仏習合としての神道・仏教。
倭の国、和の国、日の本の国から世界に広めるべき思想は、
Great peace and hermony.(大和)

well-beingで平和な世界のために、
人類3.1として行うべきことについて
voicyで述べました!

【2022年10月11日 06:00配信】
#287 神道は元々共同体を守るため、仏教は元々魂の救済のため、そして両者は日本発の世界のための思想になり得るのではないか!? - 前野夫妻の幸福学TIPS
https://r.voicy.jp/Rp9pJOqYKGP

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対話の条件とブレーンストーミングの条件は似ている

対話とブレーンストーミングの条件はにている、ということについてvoicy(前野夫妻の幸福学TIPS)で話しました。音声の視聴はこちら

対話とブレーンストーミングの条件


対話の条件(アイザックスによる)

・Listening 傾聴する
・Suspending 判断・批判を保留する
・Respecting 尊重・尊敬する
・Voicing 素直に口に出し自己開示する

ブレーンストーミングの条件

・他人のアイデアに乗っかる
・批判しない
・ワイルドなアイデア大歓迎
・質より量

集団主義-個人主義、幸せ-不幸せの2軸図

voicy「前野夫妻の幸福学TIPS」での説明のために、集団主義-個人主義、幸せ-不幸せの2軸図を描いてみました。説明はvoicyで!

【2022年09月21日 06:00配信】
#267 幸福経営は昭和に戻ることですか?それは上司だけが幸せなのでは?もっと距離を取る方が幸せなのでは? - 前野夫妻の幸福学TIPS
https://r.voicy.jp/ybKygJwe9R7

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図 集団主義-個人主義、幸せ-不幸せの2軸図

第37回伯翠会書展@2022.11.17-20

第37回伯翠会書展は、2022年11月17日(木)から20日(日)まで(11時から19時、ただし最終日は17時まで)、銀座かねまつホール(東京都中央区銀座6-9-9銀座かねまつ5F)にて行われます。

私、前野隆司は、11/19と11/20の午後にいる予定です。ぜひお越しください!

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児童養護施設入所児童の主観的幸福度を高めるグループ 学習型ワークショップの提案と有効性の検証

Voicyで論文の解説をするシリーズ。
Voicyはこちら

楠らの児童養護施設の人々の幸福度を高めるワークショップ

楠 聖伸,保井 俊之,前野 隆司,児童養護施設入所児童の主観的幸福度を高めるグループ 学習型ワークショップの提案と有効性の検証,日本創造学会論文誌,Vol. 25,2022年4月





タイトル
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図1 幸福度を向上するための方法論の構成要素。
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図2 ワークショップの概要
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図3 自己受容をテーマとしたワークの流れ
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図4 参加者が作成した自己受容ポートレイトの事例。
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図5 ワークの流れ
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参加者のコメントの例
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感動ストーリーの発掘・共有ワークショップによる組織開発の有効性検証

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石田らの感動ストーリーの作り方の研究。

石田泰博,前野隆司,井原くみ子,北村勇気,感動ストーリーの発掘・共有ワークショップによる組織開発の有効性検証,日本創造学会論文誌,Vol. 24,2021年4月,pp. 15-38





タイトル。
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STAR分析とは。
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感動ストーリー発掘のための質問表。
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感動ストーリー共有のための三幕構成表。
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感動ストーリー共有のための質問表。
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感動の発掘・共有ワークショップの手順。
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ポジティブな噂話の設定イメージ。
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Aさんの事例。
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Bさんの事例。
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Cさんの事例。
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「楽観性向上プログラム」の開発

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魚地らの楽観性の分析と、楽観性を高めるワークショップの研究。
魚地朋恵,前野隆司,越川房子,「楽観性向上プログラム」の開発,日本創造学会論文誌,Vol. 23,2020年4月,pp. 76-91




タイトル。
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因子分析結果。
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因子名および楽観性との関係
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楽観性を高めるワークショップの概要。
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仕事におけるワクワク感に関する研究−因子分析及び共分散構造分析を用いた要因の導出と構造化−

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井上亮太郎らの働くワクワクの分析。

井上亮太郎,保井俊之,前野隆司,仕事におけるワクワク感に関する研究−因子分析及び共分散構造分析を用いた要因の導出と構造化−,日本感性工学会論文誌,vol. 19, No. 2, 2020年4月, pp. 215-222



タイトル。
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因子分析結果。
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因子の名称。
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共分散構造分析結果。
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結果の説明図。
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“ハッピーワークショップ”の幸福度向上効果

Voicyで論文の解説をするシリーズ。

【2022年08月19日 6:00配信】
#234 ハッピーワークショップの幸福度向上効果(前野マドカらの論文その2) - 前野マドカ&前野隆司(well-being研究者)
https://r.voicy.jp/kaK5vjg4mBN

前野マドカらと書いたハッピーワークショップの論文。

前野マドカ,前野隆司,櫻本真理,“ハッピーワークショップ”の幸福度向上効果,支援対話研究,第4号,2017年3月,pp. 3-16



タイトル。
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ウェルビーイングとレジリエンスの関係。
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幸せの4つの因子と諸外国のレジリエンス向上プログラムとの関係。
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ハッピーワークショップと自己肯定感の関係。
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ハッピーワークショップの流れ。
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3時間バージョンの概要。
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オンラインカウンセリングサイトcotreeでの4×4項目のワーク
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ファシリテータの留意点。
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2×2欲求マトリクス-心理的価値に基づく利他的コンセプト創出法-

Voicyで論文の解説をするシリーズ。

【2022年08月18日 06:00配信】
#233 2×2欲求マトリクス 利他的コンセプト創出法 - 前野マドカ&前野隆司(well-being研究者)
https://r.voicy.jp/YQm4g70aK2W
#Voicy

麻生さんの論文のダイジェスト版。

麻生陽平,白坂成功,保井俊之,前野隆司,2×2欲求マトリクス-心理的価値に基づく利他的コンセプト創出法-,日本創造学会論文誌,Vol. 16,2013年2月,pp. 171-189




タイトル。
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欲求の2×2マトリクス。
twobytwo.png

コンセプト創出のプロセス。
process.png



結果の一例。
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主観的幸福の4因子モデルに基づく人と地域の活性化分析―NPO法人「吉備野工房ちみち」のみちくさ小道を事例に

Voicyで論文の解説をするシリーズ。

【2022年08月17日06:00配信】
#232 前野マドカらによる吉備野工房ちみちの研究(みんなが幸せになる達人育成) - 前野マドカ&前野隆司(well-being研究者)
https://r.voicy.jp/wWK83GLNVB7
#Voicy
Voicyを聴きながらみると、分かりやすいと思います!


前野マドカらと書いた吉備野工房ちみちの人材育成の研究のダイジェスト版。

前野マドカ,加藤せい子,保井利之,前野隆司,主観的幸福の4因子モデルに基づく人と地域の活性化分析―NPO法人「吉備野工房ちみち」のみちくさ小道を事例に―,地域活性研究,Vol. 5,2014年3月,pp. 41-50




タイトル。
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みちくさ小道の活動の全体像。
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吉備野工房ちみちの人材育成モデル。
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共同行為における自己実現の段階モデルによる自己実現の遷移図。
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達人の自己実現の様子。
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コーディネータの自己実現の様子。
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幸福度の上昇効果。
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「共同行為における自己実現の段階モデル」による「地域の居場所」の来場者の行動分析:東京都港区「芝の家」を事例に

Voicyで論文の解説をするシリーズ。
Voicyでの説明はこちら(19分23秒)
https://voicy.jp/channel/2318/372091

坂倉杏介先生らと書いた、芝の家の論文のダイジェスト版。

坂倉杏介,保井俊之,白坂成功,前野隆司,「共同行為における自己実現の段階モデル」による「地域の居場所」の来場者の行動分析:東京都港区「芝の家」を事例に,地域活性研究,Vol. 4,2013年3月,pp. 23-30



タイトル。
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芝の家の外観と内部の写真。
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共同行為における自己実現の段階モデル。
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スタッフになって活躍する人の例。
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ラジオの活動で活躍する人の例。
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「はたらく人の幸せ/不幸せ診断」、無償でご利用可能になりました!

以下のように2020年にリリースして以来、いろいろな職場でご利用いただいてまいりました「はたらく人の幸せ/不幸せ診断」が無料になります。

2020/07/15のニュースリリース。
慶應義塾大学前野研究室とパーソル総合研究所、
「はたらく人の幸福学プロジェクト」の成果を発表
はたらく幸せ・不幸せをもたらす7つの要因を特定。
誰でも幸福度を測れるツールを公開


このページ、興味深い結果がたっぷり載っていますので、ぜひご覧ください。さて、このページの最後の方には、

※「はたらく幸せ/不幸せ診断」について、学術目的や私的な使用はもちろん、自組織内での使用は「無償」となります。ただし、商用目的で使用される場合、必ずパーソル総合研究所にお問い合わせください。

とあります。つまり、これまでも、学術目的や私的な使用、自組織内での使用は「無償」でした。しかし、コンサルタントや研修講師の方が商用目的で使用される場合は有償でした。

これに対し、この度、慶應義塾大学前野隆司研究室とパーソル総合研究所では、話し合いの結果、営利・非営利にかかわらず、無償といたします。このページには「必ずパーソル総合研究所にお問い合わせください」とありますが、こちらも変更になります。パーソル総合研究所へのお問い合わせは原則として不要となります。ただし、どんなふうにご利用いただいているかを教えていただけますと、前野隆司研究室およびパーソル総合研究所としては励みになりますので、どのようにご利用いただいているのかをお知らせいただけますと嬉しいです。

また、せっかく無償提供致しますので、これを機会に、「どうすれば14因子を高めることができるのか」をともに明らかにしていくプロジェクトを開始しました。「14因子向上事例集作成」プロジェクトです。こちらは、一般社団法人ウェルビーイングデザインが主宰する「はたらく幸せ研究会」の内部の分化会ですが、分科会での話し合いの結果、分科会の内部に閉じず、広く一般の方にも「14因子向上事例集作成」プロジェクトに関わっていただいてもいいのではないか、ということになりました。つきましては、ご興味のある方は、ぜひご参加ください。参加いただいた方には、もちろん、「14因子向上事例集作成」を共有できると思います。

さっそく、このことについてのYouTube動画も撮りました。以下に共有しますので、ぜひご覧いただき、ご一緒いただければ嬉しいです。

「はたらく人の幸せ/不幸せ診断」についての重要なお知らせ

ちなみに、ご参考のために、14因子についての過去のYouTube動画も紹介しましょう。14因子についての理解が深まると思います。

はたらく幸せ 公開講座 第1回 「はたらく人の幸せ/不幸せ」の14因子を知ろう(2020/12/23)

はたらく幸せ 公開講座 第2回 「はたらく人の幸せ/不幸せ」の14因子を活かそう(2021/01/04)




幸福学の最近の論文から

幸福学に関する最近(2021年)の二つの論文の結果の一部を紹介します。

ひとつめ。

喜多島知穂,飛鳥井正道,末吉隆彦,磯崎隆司,前野隆司,主観的ウェルビーイングの分析と構造化-因子分析と偏相関関係分析を用いた心理的要因間の関係解析-,日本感性工学会論文誌,Vol. 20, No. 2,2021年4月,pp. 129-139

変相関関係分析という手法を用いて、幸せの4つの因子を構成する要素のどれとどれが直接相関するかを図式化した結果。下の図の通り「人生満足尺度」と直接相関するのは「自己受容」であること、「ポジティブ感情」に直接相関するのは「将来への希望」であること、「ネガティブ感情」に直接相関するのは「心配事がない」であること、「自己受容」「人生の意義」「自尊心」は他の多くの項目と直接相関するハブとなっていること、第2因子「自己受容と楽観」、第3因子「自己実現と成長」は幸せと直接関係する傾向が強いが、第1因子「つながりと感謝」、第4因子「自信と自分らしさ」は間接的に幸せに影響していることなど、この図をじっくり見ているといろいろと興味深いことがわかります。

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ふたつめ。

喜多島知穂,前野隆司,中尾睦宏,主観的well-beingに影響する心理的要因の特徴:コロナ禍におけるアンケート調査,日本心療内科学会誌,Vol. 25, No. 2,2021年7月,pp. 81-95

2021年に掲載されたこの論文では、幸せと弱い相関を持つ事柄も含めて因子分析を行った結果、8つの因子が得られています。「あるがままの受容」「自己へのゆるし」「思いやりと感謝」「生きがい」「信心と精神性」「自己内外への意識」「挑戦と成長への意志」「他者への寛容と協力」の8つです。

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こちらについてはYouTubeでも解説しています。

幸福学入門 幸せの4つの因子から8つの因子まで


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52分間の動画です。ぜひご覧ください。

また、このブログについて、voicyで解説しています。全18分。こちらもお聞きください。

https://voicy.jp/channel/2318/365675

ウェルビーイング・ダイアログ®️ (WBD®️)

2021年7月31日のブログに、その月にfcebookで行った「ウェルビーイング・チャット・チャレンジ」の問いを掲載しました。ウェルビーイングに関連する31個の問いへの答えをコメント欄にみんなで書くチャレンジです。この問いを再掲します。個人で考えるのもおすすめですが、複数人での対話(ダイアログ)の機会にしていただければさらに有意義だと思います!

1. 夢や目標は何ですか?
https://www.facebook.com/takashi.maeno/posts/4074434789300912

2. 日頃から何に感謝していますか?
https://www.facebook.com/takashi.maeno/posts/4077033439041047

3. あなたは自分や他人に対してネガティブ? ポジティブ? ポジティブであるために気を付けていることは?
https://www.facebook.com/takashi.maeno/posts/4079606818783709

4. 人と自分を比較しないコツは?
https://www.facebook.com/takashi.maeno/posts/4082507601826964

5. ワクワクしていることは?
https://www.facebook.com/takashi.maeno/posts/4085201838224207

6. 創造性を発揮する秘訣は?
https://www.facebook.com/takashi.maeno/posts/4087888731288851

7. 今ここに集中するための秘訣は?
https://www.facebook.com/takashi.maeno/posts/4090369814374076

8. 広い視野で物事をとらえる秘訣は?
https://www.facebook.com/takashi.maeno/posts/4093170340760690

9. 金・モノ・地位に囚われすぎないために行っていることは?
https://www.facebook.com/takashi.maeno/posts/4095973843813673

10. 他の人に対してどんな親切な行為を心がけていますか?
https://www.facebook.com/takashi.maeno/posts/4098780473533010

11. 楽観的に物事をとらえる秘訣は?
https://www.facebook.com/takashi.maeno/posts/4101620903248967

12. 自然に触れ合うために行っていることは?
https://www.facebook.com/takashi.maeno/posts/4104390772971980

13. あなたを大切に思ってくれている人は誰?
https://www.facebook.com/takashi.maeno/posts/4107125916031799

14. 社会の要請に応えていることは?
https://www.facebook.com/takashi.maeno/posts/4109958062415251

15. 物事を人のせいにしてしまわないために気を付けていることは?
https://www.facebook.com/takashi.maeno/posts/4112687055475685

16. 自分の強みをさらに強めるために行っていることは?
https://www.facebook.com/takashi.maeno/posts/4114654531945604

17. 恩送りとしてやっていること・やってみたいことは?
https://www.facebook.com/takashi.maeno/posts/4117447011666356

18. 将来やってみたいことは?
https://www.facebook.com/takashi.maeno/posts/4120208264723564

19. 自分の性格の気になる点をいい点に置き換えてみると?(リフレーム)
https://www.facebook.com/takashi.maeno/posts/4122931857784538

20. 他の人の結果を褒めるのではなくプロセスを勇気づけるために使っている言葉は?(勇気づけ)
https://www.facebook.com/takashi.maeno/posts/4125643904180000

21. 他人の立場に立って考えるために行っていることは?(主観主義)
https://www.facebook.com/takashi.maeno/posts/4128501003894290

22. 失敗の原因を探すのではなく、努力から得られる良い未来を探るために行っていることは?(目的論)
https://www.facebook.com/takashi.maeno/posts/4131338063610584

23. 人を信じ自分を信じるために行っていることは?(共同体感覚)
https://www.facebook.com/takashi.maeno/posts/4134275413316849

24. 貢献感を感じていることは?(貢献感)
https://www.facebook.com/takashi.maeno/posts/4137309196346804

25. 自分のいいところも悪いところも受容するために心がけていることは?(自己受容)
https://www.facebook.com/takashi.maeno/posts/4140199629391094

26. あなたの人間関係上の課題は何? そしてそれは、どうなったらいい?
https://www.facebook.com/takashi.maeno/posts/4143797219031335

27. なんとかなるとチャレンジしていることは?
https://www.facebook.com/takashi.maeno/posts/4146681508742906

28. 感情的になりすぎないために気を付けていることは?
https://www.facebook.com/takashi.maeno/posts/4149583928452664

29.「本当になりたい自分」に近づくために行っていることは?
https://www.facebook.com/takashi.maeno/posts/4152405664837157

30. 世界中の生きとし生けるものを信じる秘訣は?
https://www.facebook.com/takashi.maeno/posts/4155264191217971

31. 愛に満ちあふれているのはなぜ?
https://www.facebook.com/takashi.maeno/posts/4158181094259614

最近のWEB掲載

最近WEBに載った記事を紹介します。ご参考まで!

賢人論 前編、中編、後編
https://www.minnanokaigo.com/news/special/takashimaeno1/
https://www.minnanokaigo.com/news/special/takashimaeno2/
https://www.minnanokaigo.com/news/special/takashimaeno3/

日立製作所HP
企業が取り組むべき「ウェルビーイング」とは? 幸福学の第一人者に聞く
https://social-innovation.hitachi/ja-jp/article/wellbeing/

COURIER JAPON
幸せのメカニズムの動画
https://courrier.jp/contour/mechanism-of-wellbeing-1/

妻の前野マドカの記事

東洋経済ONLINE

「心が折れない子供」を育てる上で欠かせぬ4要素
https://toyokeizai.net/articles/-/596629

「パパ大好き」への答え方で子どもの人生は変わる
https://toyokeizai.net/articles/-/598176


日本経済新聞「人間発見」幸せはどこにある!?

日本経済新聞夕刊の人間発見というコーナーに、2022年4月11日(月)から15日(金)まで5日間にわたって「幸せはどこにある」と題して取材記事を掲載していただきました。

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ただし、新聞って、本人によるチェックができないんですよね。このため、細かいことを言うと誤りも多々あります。すこし訂正します。

①一番下の段
企業の目的は利益を上げることですが→企業の目的は利益を上げることだと考えられがちですが

②「皆の役に立つから医者になりたい」と言ったら「偽善者」というあだ名をつけれらたことになっていますが、正確には、あだ名をつけられた理由は思い出せません。取材でもこのように言った覚えはありません。

③共通の友人であるキヤノンの同僚が遊びに来て、2人で車を飛ばして、とありますが、遊びに来た友人は3名。現地駐在中も友人も含め、5名でサンフランシスコに行きました。
慶應の理工学部を再度応募とありますが、一度目は慰留されて応募しなかったので、応募したのは次の年だけです。
それから、幸福学はSDGsに貢献できるのではないかと考えた、とありますが、幸福学を始めたのはSDGsよりも前です。

④幸せの4つの因子を求めるために3〜4年かけて分析、と書かれていますが、分析したのは1〜2年。その後本になるまでを含めると3〜4年です。
幸せの4つの因子の4つ目「ありのまま」→「ありのままに」。

⑤特にミスはありません!ふたりで着ているハッピは、shiawaseシンポジウムのために作ったハッピーハッピ、著名なデザイナーの田子學さんにデザインしていただいたものです!

本を出します! 『ウェルビーイング』『ディストピア禍の新・幸福論(仮題)』など

2022年3月、4月、5月に本を出す予定です。

(1) 3月に出るのは、『ウェルビーイング』(日経文庫)。妻の前野マドカとの共著です。3/19発売予定。すでにアマゾンにも載っていますね。これは「ウェルビーイング」についての解説書です。学術界、政界、産業界etcにおけるウェルビーイングの動向について2人で語っています。本書の「はじめに」をこのブログの後半に掲載します!

(2) 4月には、ホワイト企業大賞やSalon de Tenge(天外さんのオンラインサロン)でもご一緒させていただいています天外伺朗さんとの対談本がワニ・プラスから出ます。『無意識の整え方』以来、何冊か出してきた、無意識対談シリーズ。ついにウェルビーイング界の長老(!?)天外伺朗さんとの対談。成人発達理論や実存的変容についての天外さんのお考えを楽しく聞き出しています。いまのところの仮題は『語り得ないものを語る』(変わるかもしれません)。出版をお楽しみに〜。

(3) そして5月には、還暦記念集大成の280ページ、2200円の本をプレジデントから出します。私の代表作である『脳はなぜ「心」を作ったのか』『幸せの日本論』『幸せのメカニズム』『ウェルビーイング』を足して発展させたような内容です。力作です。世界への愛を思いっきり語っています。タイトルは『ディストピア禍の新・幸福論』。こちらもお楽しみに〜!

というわけで、毛色の違う3冊を3月から3連発! ちなみに妻の前野マドカも、3月は私との共著『ウェルビーイング』(日経文庫)、そして4月には子育ての幸せについての単著『子どもの人生を豊かにする4つの心の育て方』(あさ出版)を出版予定。マドカの単著も楽しみですね〜。

どれもいい本です。読書の春です。お楽しみに〜。

ついでにいうと、今年の初めから毎朝6時にVoicyやってます。「前野夫妻の幸福学TIPS」。こちらはカジュアルに5〜10分、幸福学についてのヒントを語るもの(というか夫婦でリラックスして笑っているだけという噂も)ですが、こちらもぜひご試聴ください! よかったら、フォローしてください! さらについでにいうと、ウェルビーイングな社会を広めるために行っている一般社団法人ウェルビーイングデザインの活動をわかりやすく紹介するために、社団のホームページを一新しました。こちらもぜひご覧ください。幸せに生きるためのヒントがいっぱいです!

というわけで、いろいろと話がそれました(笑)が、今日の目玉は、『ウェルビーイング』(日経文庫)の「はじめに」。以下に掲載します。ぜひ、読んでみてください!




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明けましておめでとうございます

明けましておめでとうございます。

母が切り絵で作った年賀状です。

2022nyc_maeno.png

May your days be merry and bright!

メリークリスマス!



ホワイトクリスマスを歌ってみました(笑)
お粗末様でした。

インドの言葉の与格について

中島岳志「なぜ今、利他なのか」
中島岳志(東京工業大学リベラルアーツ研究教育院教授)

これは面白い。

インドの言葉の与格。

昔、インドの方々に受動意識仮説の話をしたら、それは当然そうだろう、と、言われて驚いたことの謎を解くヒントがここにはありますね。

ヒンドゥー教と仏教の違い、大乗仏教と上座部仏教の違いなどの話もわかりやすいです! 納得。共感。会ってみたい!

Appendix

プロフィール

Takashi Maeno

Author:Takashi Maeno
慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科(慶應SDM)ヒューマンシステムデザイン研究室教授
慶應義塾大学ウェルビーイングリサーチセンター長兼務
前野隆司

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